今あるAIを第三者視点から評価 JTPが提供する「THIRD AI」
海外企業の日本市場参入をサポートするJTP。2017年より、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft、LINEなどとパートナーシップを結んで新規事業を立ち上げ、最適なAIエンジンを採用し活用するAIソリューション「THIRD AI」の開発・提供を行っている。
「THIRD AIは、AIを作るのではなく今あるAIをうまく使うことをコンセプトとし、第三者としてAIを評価する点に特徴があります。企業・ブランドのビジネス戦略の中に組み込むことができる、つまり『手に届くAI』を提供し、インテグレーションしていくことを目的としています」(為田氏)
すでに、さまざまな業界特化型のソリューションを提供するTHIRD AI。小売向けにはThird AI Retail Solutionを用意していると言う。
「当社が支援する企業・ブランドの多くは、OMO推進に取り組んでおり、実店舗とECを組み合わせたマーケティングを実施するケースが増えています。こうした取り組みにAIを活用すれば、新たな価値創出も夢ではありません」(為田氏)
なお、JTPではこれまで、「LINEでクーポンを発行して実店舗へ送客する」といったO2Oの施策支援も行ってきたが、これらはあくまで一方通行のものだ。「双方向性を持たせてチャネルの融合を図るには、さまざまなチャネルで収集したデータ蓄積・分析を一元化し、あらゆるチャネルでOne to Oneマーケティングにつなげる必要がある」と為田氏は語る。
しかし、理屈としては理解できても、企業・ブランドがOMOを実現するにはさまざまな課題が存在するのも実情だ。為田氏は、よくある課題として「実店舗とECのデータ統合ができていないこと」を挙げた。
「たとえば、実店舗とECで同一のJANコードを用いているにもかかわらず、商品名が異なっているなど、細かな差異がデータ統合の妨げとなります。こうした整理は欠かせません」(為田氏)
続いて為田氏は、「各チャネルの棲み分けや他社との差別化」「実店舗でのデータ取得の難しさ」についても言及。
「たとえば、あるポイントサービスに加盟店登録をしている場合、データを購入すれば自社の顧客把握ができると考える方もいるでしょう。しかし、必ずしも登録情報が合致するとはかぎりません。また、外部データと自社データを突合して分析するにも、多大な労力を要します。独自ポイントの採択、マルチポイント化が進む中で、どのようにデータ統合を行うかといった課題も、視野に入れる必要があると言えるでしょう。
また、コロナ禍でEC売上が伸びた一方で、実店舗の閉店・縮小を決めた企業やブランドも少なくありません。顧客がアフターコロナの実店舗に求める価値についても、考える必要があります」(為田氏)
為田氏は「データ取得が容易にできるのはEC」としながらも、「実店舗でもスマートフォンアプリのダウンロード促進や実店舗・EC共通の会員カード施策などで、データ取得は実現できる」と補足。「魅力ある商品・サービスの提供や来店したくなる店舗作りは大前提として、顧客に新たな体験を提供することが大切」と強調した。