インバウンド復活か コロナ禍のデジタル化で差がつく
10月11日から、外国人観光客の入国について受入責任者制度を廃止し、パッケージツアーに限定する措置が解除された。個人観光客が訪日できるようになり、インバウンドが解禁となったと言える。
「団体旅行での解禁の際にはビザの取得などもあったからでしょう、すぐに戻ってきたという手応えは感じられなかったのですが、8月、9月と徐々に増加し、10月になってインバウンドが復活したと感じています。京都、奈良など関西の観光地のクライアントを訪問してきましたが、とある店舗様は次々に外国人観光客のお客様がいらっしゃるため、『今日の打ち合わせは早めに切り上げたい』とおっしゃったほどです」
コロナ禍になり、インバウンド観光客が激減し失った売上を埋めようと越境ECはじめデジタル施策に取り組むところが相次いだ。だがすぐにデジタルで売れるわけではない。
「コロナ禍以前は、インバウンドで売上が立つからとデジタルへの取り組みを後回しにする事業者様も少なくありませんでした。しかしコロナ禍になって本当にお客様が減ってしまい、デジタルに取り組まざるを得なくなりました。越境ECで月商0円から始めて数百万円まで伸ばしたところもありますし、コツコツと動画を制作してノウハウとチャンネル登録者数を増やしたところもあります。コロナ禍で取り組んでいたデジタル施策が、インバウンド解禁によりOMOに取り組む上で武器になり始めています」
コロナ禍は観光業にとって苦難には違いなかったが、 DXに踏み切るきっかけを与えてくれたととらえることもできるだろう。これから訪れる観光客と、事前にデジタルでつながりを持つことができていれば、リアルで初対面であってもスタートラインが変わってくるわけだ。
「アメリカンイーグルのShopify POS導入が話題になっています。実店舗のPOS導入によるデータ連携は、越境EC・インバウンドのOMOを推進していく上でも参考になるでしょう。店頭に二次元コードを設置し、英語の商品説明動画を試聴してもらう施策も有効です。店員が英語を話せなくとも詳しい商品情報を得てもらえる上、同意が得られればリターゲティング広告なども配信できます。物流面では、海外発送伝票作成サービス『ハコボウヤ』の導入を進めています。大型商品の配送の際にリアル店舗で手書きで住所等を書いていただくと、読めずに配送できないがお客様はすでに帰国してしまった、といったこともありました。越境EC・インバウンドのDXも進化を続けています」