エースブランドが成功している秘訣は? 差がつくふたつのポイントを紐解く
ここからは、森田氏がBrazeを導入する世界1,300ブランドのインデックス測定結果を紹介。同測定では、人員が足りているか、評価や組織が存在するかを示す「チーム」と、顧客とのコミュニケーションを適切に行えるチャネルやデータ活用環境、成功指標の有無を示す「技術」の2軸で、カスタマーエンゲージメントを実施できる環境にあるかどうか、また取り組みのレベルはどの程度のものかを評価している。
Brazeでは、2軸の推進レベルに応じて「エース」「アクセラレート」「アクティベート」と分類を行っている。結果としては、エース 17%、アクセラレート 49%、アクティベート34%という状況だ。森田氏は「ポイントはエースとそのほかとの違い」と語り、とくに大きな差が出ているポイントをふたつ挙げた。
実験をしている
エースに分類されるブランドは、ウェブサイト上やメッセージ配信のABテストを行った後に、BIツールなどを通してチーム横断で情報交換を定期的に行うことができている。かつ、複数の変数と詳細なオーディエンスセグメントでテストを実行しながら、複数のテスト・分析を間を空けることなく継続的に実践している。
チャネルの統合ができている
同調査では、エースに分類されるブランドの80%が「複数チャネルでのカスタマーエンゲージメントを構築できている」と回答。加えて、「複数チャネルをまたいだコミュニケーションが、複数ではなく単一のプラットフォームで簡潔できている」「自動識別にて顧客ごとに最適なメッセージチャネルを判定できる仕組みを採用している」と答えた割合が、ほかの調査項目と比較して高くなっている。
「こうした取り組みを実現すればするほど、エースに近づくことができます。とくに小売・EC業界は61%が『2020年よりもマーケティング予算増大を計画』し、44%が『顧客満足度指標とカスタマーエンゲージメントへの投資増大を計画』していると答えており、これは他業界と比較しても多い状況です」(森田氏)
実際に複数チャネルでのコミュニケーションを実現することで、どの程度数字に差が出るのだろうか。森田氏は「クロスチャネル型 エンゲージメント戦略の効果」としてエースとそれ以外のウェブサイトに来訪する顧客のアクティビティを紹介。
「顧客ひとりあたりのセッション数は5.8倍、顧客LTVは3.2倍もの差がついており、90日間のリテンション率については73%増となっています。メールでメッセージを送った後に、それらに合わせた内容のアプリ内プッシュメッセージなどを送付することで、こうした大きな成果を得ることができます」(森田氏)
「一足飛びに全チャネル横断は難しい」と補足した上で、森田氏はスモールスタートで徐々に広げていくことを提案。実際にメルカリなど多くの企業においても、約3年の時間をかけて少しずつチャネルを増やしていると言う。
「ただし、一般的にはチャネルを追加する際に多くの開発工数がかかります。また、チャネルが増えるとメッセージ量も増加し、ランニングコストも増加します。そのような環境で企業が成長を描くことは困難です。それに対してBrazeは、適切なチャネル成長のフローを描くことに最適化されたアーキテクチャとなっています」(森田氏)