アリババが持つ多大な情報を活用 DAMO AI-APIとは
アリババグループは、EC事業のほかにも金融やコンシューマー向けチャットサービスなど、さまざまな事業・サービス展開を行っている。そして、それぞれに応じたAIを「アリババDAMOアカデミー」と呼ばれる総合研究機関が統括。同機関は、DAMO AI-APIを活用したソリューション創出を推進している。
中国のAI活用は、世界の中でも先を行く状況だ。EC・実店舗といった小売の領域に限らず、多くの場面で使用されている。1日10億人にサービスを提供するアリババのAPIでは、1日1兆回を超えるボリュームでAPIコール課金が行われ、1日の処理実績は画像で10億枚、動画で120万時間、音声処理で55万時間、自然言語処理で5,000億センテンスにも及ぶ。DAMOアカデミーはこの学習結果を他社にも提供しており、SBクラウドはそれを日本展開している。
「中国では、ECは当然のこと、政府、金融、医療など幅広い業界の現場でアリババのAIが使われています」(山田氏)
その業種はエネルギーや交通・製造といったインフラ面にまで及んでおり、「AIが活用されていない領域はないのでは」と思うほどだ。DAMOアカデミーは、そんなAIを中心にビッグデータ、ロボティクス、FinTechなどさまざまな技術領域を研究対象としているが、今回山田氏は「AI」とりわけ「画像処理」をテーマにECへの活用について解説した。
DAMOアカデミーが提供するAPIのうち、画像処理系APIのことを「DAMO Vision API」と呼ぶ。ここでは、140を超える画像処理系APIをリリースしている。画像認識や人体・顔認識など機能ごとに分かれており、利用を希望する場合は必要なAPIをピックアップして活用することが可能だ。実際に日本でも新型コロナウイルス感染症拡大時に、肺のCT画像データから感染の有無をAIが判断するなど、活用が進んでいる。
山田氏は、画像を見せながらDAMO Vision APIの実例を紹介する。前出した新型コロナウイルス感染症の確率をリターンする実例では、感染の確率が高い箇所をAIがマーキング。次の例は、人物の顔写真をインプットデータとして、その人物の性別・年齢・表情を返す「DAMO Vision API 顔認識」だ。実際に実店舗の来店客層の分析や、無人店舗の運用などで活用されている。
画像認識は商品のカテゴリー分けにも用いられている。たとえば、ひとりがけのソファの写真をインプットデータにすると、「ソファ」「椅子」「ロッキングチェア」といったように該当するカテゴリーを確率でリターン。手動での分類分けが必要なくなり、作業工数削減を実現できる。
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アリババグループの高精度画像AIが商品画像からタグ情報を自動で抽出します。当記事でご興味を持たれた方は「ECサイト運営効率化 画像認識AIソリューション」のウェブサイトをご覧ください。