次世代のデータ活用とマルチチャネルコミュニケーションをBrazeで実現
複数チャネルでのコミュニケーションを実現し、エンゲージメントを深めるためには何をすべきか。提言を進めるにあたり、森田氏はマッキンゼー・アンド・カンパニーが2020年9月に発表した「デジタル革命の本質:日本のリーダーへのメッセージ」を取り上げた。
同メッセージでは、つぎはぎの「デジタル改善」を行っても「数%しか利益の変化はない」と言及されている。目指すべき「デジタル改革(DX)」は、API・クラウドなどを活用して柔軟なシステム環境を作ること、新しいアーキテクチャを活用・機能させることが基盤として要求されている。そしてトライアル・アンド・エラーが可能なアジャイルに変化する環境を、横断的に用意することが重要である。これらにより数十%以上の効果を得ることができると見込まれている。
そしてもうひとつ、森田氏は経済産業省の「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」を紹介。レガシーなシステムを使い続ければ、2025年には日本全体で約12兆円ものマイナスとなり、その後も継続的にマイナスを垂れ流すと同レポートでは試算されている。「APIを活用したアーキテクチャの選択、変化への対応、新たなサービスを試すことができる環境構築が重要なポイントとなっている」と森田氏は補足した。
こうした時代の変化に向けて、Brazeは次の3つの手法でデータ活用を実現し、あらゆるチャネルに対してリアルタイムなアクションを実現できる体制を構築している。
- API連携による会員データ・商品データベースの取り込み
- Treasure Data CDPやShopifyなどパートナーサービスからのデータ取り込み
- SDKを通し、アプリとウェブ上で取得した顧客の行動やデモグラフィックデータの取り込み
ここで森田氏は、実際にBrazeの管理画面にある「Canvas」のデモを見せた。「いつ・誰に・どのようなメッセージングを行うか」といった連続性あるコミュニケーションのシナリオを描く機能であり、日本語環境も整備されている。前出したさまざまなデータを取り込んだ上でそれらを活用し、あらゆるチャネルに向けたメッセージ作成・配信を実現することが可能だ。
デモンストレーションでは、森田氏がサマーセール実施時を想定して実際にメッセージを作成。タイトル、メッセージやアイキャッチを設定した上で蓄積したデータから顧客の名前や好きなカテゴリーなどを取得、パーソナライズの設定を施した。
同機能では、セグメントの設定もSQLを使わずにプルダウン式で行うことができる。メッセージを送るチャネルとタイミングについては、過去の反応と照らし合わせた自動化に対応しており、たとえば過去にメールでの反応がよかった顧客に対しては、最初のメッセージをメール送信。無反応な場合は追加でSMSを送り、反応があった場合はすぐにアプリでプッシュ通知を送るといったコミュニケーションシナリオも容易に実施可能だ。また、実店舗の近くを通ったタイミングでさらにセール情報をプッシュ通知で届けるといったリアルタイム性の高いコミュニケーションもデモで設定して見せた。まさにオンオフを通して、さまざまなチャネルでコミュニケーションを実現できるのがBrazeと言えよう。最後に森田氏はこのように強調し、セッションを終えた。
「Brazeでは、新しい技術やトレンドに柔軟に対応するAPIを備えています。たとえば、近年利用が増えている『Amazon Personalize』レコメンデーションエンジンとの連携などが容易に実現可能です。さまざまなデータと連携し、あらゆるチャネルに対して適切なメッセージを送ることをアジャイルなアプローチで実現できるBrazeは、顧客とのエンゲージメントに大きく貢献できると私たちは考えています」(森田氏)