無理な引き留めとあっさり解約の間を探す、チャットボットの会話
エリカ健康道場のECは定期購入モデル。常に「いかに解約を防ぐか」は大きなテーマだった。北島さんは、佐野さんの著書『解約新書~マーケッターに捧げる解約の真実と処方箋~』(幻冬舎)を読み、共感を覚えてMacbee Planetに問い合わせを行った。オンラインミーティングから、わずか2週間で導入を決めたと言う。
「それ以前からCRMツールを導入して分析を行い、メルマガやお手紙、フォローコールなど、思いつく施策は打っていました。ところがある日、お客様から解約のお申し入れがあった際に『あまりにあっさり解約できて物足りなかった』というお声をいただいたのです。解約の際も気持ち良くやめていただきたいとの思いから、無理なお引き留めはしてきませんでした。でも、そのお声をいただいたことから、『ちょっとあっさりしすぎていたかな』と思うようになったのです。あっさりし過ぎず無理なお引き留めもしない、その間のようなコミュニケーションはできないだろうかと考えていたところで、Robeeに出会いました。チャットボットであれば、聞きたいことがある方はお使いになるでしょうし、そうでない方は利用せずそのまま解約なさるだろうと考えました。導入してひと月ほどであるため、正確なことは言えませんが、チャットボットのキャラクターとして採用した『なちゅまるくん』が、お客様に寄り添いながら会話をしていくことで、解約防止へとつながっていくのではないかと感じています」(北島さん)
定期通販の解約と言えば、サイト上の情報は見つかりづらく、電話をしてもつながらず、やめるのにひと苦労だったという経験をした人も少なくない。エリカ健康道場の場合は、ユーザーのコメントどおり、気持ちが良いほど「あっさりしている」と言えるだろう。
「初回購入のハードルを低くしてとにかく新規顧客を獲得し、わかりにくくして解約を防止するという乱暴なマーケティングは、すでに建設的ではなくなっています。まだ続けている企業の中にも気づいている人はいますが、会社の方針として止めるところまではいかない。『いつまでこれが続くのだろう』といったお悩みを聞くこともありました。私は以前、動画のサブスクリクションサービス運営会社をサポートしていましたが、新規顧客がなかなか増えていかないという課題に直面していました。EC/通販もいずれ、同様のターニングポイントが来るでしょう。LTV最大化ツールとしてのRobeeは、このような背景から生まれています」(佐野さん)
Macbee Planetが把握するだけでも、日本におけるチャットボットサービスは160を数える。大きく、自然言語処理型とシナリオタイプに二分できるが、Robeeは後者のシナリオ型だ。テクノロジーの視点では最先端というわけではないが、ユーザーが何を聞きたいかを明確に言語化できていない場合など、顧客に寄り添ったコミュニケーションを行う際には効果を発揮すると佐野さんは言う。
裏側ではAIを用い、FRSという顧客からの好感度を独自の指標で取得しリアルタイムに計算している。顧客がその会話の内容を好んでいる/好んでいないことを判別し、反応に応じて内容を変更。たとえば、好んでいなければそのまま解約へ、好んでいれば継続の意思が見受けられるため、飲みかたを提案したり、アレンジレシピを表示するなど積極的なアプローチを行う。Robeeが行うコミュニケーションを「人間に近い」と佐野さんは表現する。さらに、Robeeにおけるやりとりのデータから、解約する顧客をわかりやすくペルソナ化。エリカ健康道場に共有し、先手のマーケティング施策を打つことに貢献している。
シナリオ型チャットボットは、一般的なCRMツールと比較して、少ないデータでもPDCAを回せるのが特徴のひとつだ。シナリオ型ではないAIを活用したチャットボットの場合、ハードルとなるのが、データの蓄積に時間がかかること。Robee導入の際にエリカ道場が準備したデータは、購入してから一定期間の契約率の推移、顧客アンケート、サポートスタッフからのヒアリングなどで、膨大なビッグデータではなかった。顧客に寄り添い、解約を無理に引き留めようとしない方針を活かしたシナリオに加え、同社のキャラクター「なちゅまるくん」を採用したスタンプも取り入れ、無人のチャットボットでも人間味あるコミュニケーションを実現。顧客からは自由記入欄にも、さまざまな温かいコメントが寄せられていると言う。
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