エリカ健康道場が定期購入の解約防止に「Robee」を選んだ理由
「断食ドリンク 優光泉」の定期通販をECで営むエリカ健康道場。もともと、家業として花屋(エリカ園芸)を営んでいたが、肥料について研究するうちに「発酵」をビジネスにしようと思い立ち、1988年にエリカ健康道場(断食道場)をオープン。オガクズ風呂とオリジナル酵素飲料「優光泉」のリアルでの販売を開始した。
通販は2008年に楽天市場、2013年に自社サイトの順で開始。Amazon.co.jp、Yahoo!ショッピングにも出店している。最近では、モテクリエイターゆうこすによる「断食」体験動画の公開や、BOYS AND MENSが公式アンバサダーに就任するなど、インフルエンサーマーケティングにも取り組んでいる。
そんなエリカ健康道場が、2020年10月にLTV最大化を掲げるリテンションボット「Robee(ロビー)」を導入。導入から1ヵ月で顧客が解約するパターンが判明、解約率を23%減少させる成果につながった。今回は、エリカ健康道場 代表取締役社長 北島昭博さん、Robeeを提供するMacbee Planet エヴァンジェリスト 佐野敏哉さんに、Robee導入までの経緯について対談してもらった。
「断食ドリンク 優光泉」のECにおける販売スタイルについて、当初から「定期購入モデル」を考えていたという北島さん。楽天市場からスタートしたのも、当時、定期通販の仕組みが見つかったECモールが楽天のみだったからだと言う。売上比率は、自社ECが6、楽天が3、Amazonが1となっている。CRMが必須の定期通販は、データが取得できる自社ECサイトで行うのが適しているため、健全な売上比率と言って良いだろう。
「実店舗から始めた当社がECを始める理由が、『自宅でもファスティング(断食)に取り組んでいただきたい』という思いからでした。リアルで断食道場に数日滞在していただくと、決められたプログラムどおりに取り組んでいただくことができるため、結果につながりやすくなります。しかし、お客様がご自宅でおひとりで取り組まれると、どうしても自己流が入ってしまう。たとえば3日間ファスティングしたきりでとくに効果を感じられず、その後はやらなくなってしまうといったことが起きます。そのため、ECで購入した商品への満足度も低くなり、解約になってしまう。『断食ドリンク 優光泉』を取り入れたファスティングを、ライフスタイルに取り入れていただきたいという提案を前提としたEC事業だったため、商品があらかじめ届いて継続しやすい、定期購入モデルが必須だったのです」(エリカ健康道場・北島さん)
集客のため当初から取り組んだのはリスティング広告やSEO、モール内広告などの鉄板施策。中でも主軸としたのは、アフィリエイト広告だった。
「アフィリエイト広告についての説明を受けた際に、『自分が実際に使ってみて良いと思ったものを紹介する、いわゆるクチコミの広告だ』との説明を受け、当社にピッタリだと思いました。運が良いことに、酵素ドリンクが話題になっていた時期で関心を持っていただきやすく、『自分が人に勧めるものは良いものにしたい』という本物志向のアフィリエイターさんが増えていたため、良い記事を書いていただくことができました。最近のインフルエンサーとの取り組みも、クチコミで広げていきたいという思いから行っています」(北島さん)
クチコミによる新規顧客の獲得に注力してきたエリカ健康道場だが、2020年10月にリテンションボット「Robee」を導入。提供するMacbee Planetは、もともと成果報酬型の広告代理店として設立。アフィリエイト広告を中心に、金融機関や通販企業を支援してきた。時代の変化、顧客ニーズの変化に合わせ、テクノロジーによって成果報酬型広告のPDCAを自動で改善する方向にシフト。当初はRobeeも、CPA改善プラットフォームとしてリリースされた。
「さらに時代が進み、当社のクライアントが求める成果が、たとえば『申し込み』から『実際の利用』といった具合に深化していきました。通販企業様であれば、指標を新規獲得からLTVに置くようになっていったのです。私たちは、事業の成功を支援するパートナーになることが望まれました。Robeeについても、CPA改善プラットフォームから、LTVを最大化するソリューションとして進化させ解約抑止・分析ツールの機能が追加されました。エリカ健康道場様においては、定期購入の解約を防止すべく、チャットボットで購入者様とコミュニケーションを取り、データを蓄積し、解約パターンを見出して対策を取るという取り組みを行っています」(Macbee Planet・佐野さん)
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無理な引き留めとあっさり解約の間を探す、チャットボットの会話
エリカ健康道場のECは定期購入モデル。常に「いかに解約を防ぐか」は大きなテーマだった。北島さんは、佐野さんの著書『解約新書~マーケッターに捧げる解約の真実と処方箋~』(幻冬舎)を読み、共感を覚えてMacbee Planetに問い合わせを行った。オンラインミーティングから、わずか2週間で導入を決めたと言う。
「それ以前からCRMツールを導入して分析を行い、メルマガやお手紙、フォローコールなど、思いつく施策は打っていました。ところがある日、お客様から解約のお申し入れがあった際に『あまりにあっさり解約できて物足りなかった』というお声をいただいたのです。解約の際も気持ち良くやめていただきたいとの思いから、無理なお引き留めはしてきませんでした。でも、そのお声をいただいたことから、『ちょっとあっさりしすぎていたかな』と思うようになったのです。あっさりし過ぎず無理なお引き留めもしない、その間のようなコミュニケーションはできないだろうかと考えていたところで、Robeeに出会いました。チャットボットであれば、聞きたいことがある方はお使いになるでしょうし、そうでない方は利用せずそのまま解約なさるだろうと考えました。導入してひと月ほどであるため、正確なことは言えませんが、チャットボットのキャラクターとして採用した『なちゅまるくん』が、お客様に寄り添いながら会話をしていくことで、解約防止へとつながっていくのではないかと感じています」(北島さん)
定期通販の解約と言えば、サイト上の情報は見つかりづらく、電話をしてもつながらず、やめるのにひと苦労だったという経験をした人も少なくない。エリカ健康道場の場合は、ユーザーのコメントどおり、気持ちが良いほど「あっさりしている」と言えるだろう。
「初回購入のハードルを低くしてとにかく新規顧客を獲得し、わかりにくくして解約を防止するという乱暴なマーケティングは、すでに建設的ではなくなっています。まだ続けている企業の中にも気づいている人はいますが、会社の方針として止めるところまではいかない。『いつまでこれが続くのだろう』といったお悩みを聞くこともありました。私は以前、動画のサブスクリクションサービス運営会社をサポートしていましたが、新規顧客がなかなか増えていかないという課題に直面していました。EC/通販もいずれ、同様のターニングポイントが来るでしょう。LTV最大化ツールとしてのRobeeは、このような背景から生まれています」(佐野さん)
Macbee Planetが把握するだけでも、日本におけるチャットボットサービスは160を数える。大きく、自然言語処理型とシナリオタイプに二分できるが、Robeeは後者のシナリオ型だ。テクノロジーの視点では最先端というわけではないが、ユーザーが何を聞きたいかを明確に言語化できていない場合など、顧客に寄り添ったコミュニケーションを行う際には効果を発揮すると佐野さんは言う。
裏側ではAIを用い、FRSという顧客からの好感度を独自の指標で取得しリアルタイムに計算している。顧客がその会話の内容を好んでいる/好んでいないことを判別し、反応に応じて内容を変更。たとえば、好んでいなければそのまま解約へ、好んでいれば継続の意思が見受けられるため、飲みかたを提案したり、アレンジレシピを表示するなど積極的なアプローチを行う。Robeeが行うコミュニケーションを「人間に近い」と佐野さんは表現する。さらに、Robeeにおけるやりとりのデータから、解約する顧客をわかりやすくペルソナ化。エリカ健康道場に共有し、先手のマーケティング施策を打つことに貢献している。
シナリオ型チャットボットは、一般的なCRMツールと比較して、少ないデータでもPDCAを回せるのが特徴のひとつだ。シナリオ型ではないAIを活用したチャットボットの場合、ハードルとなるのが、データの蓄積に時間がかかること。Robee導入の際にエリカ道場が準備したデータは、購入してから一定期間の契約率の推移、顧客アンケート、サポートスタッフからのヒアリングなどで、膨大なビッグデータではなかった。顧客に寄り添い、解約を無理に引き留めようとしない方針を活かしたシナリオに加え、同社のキャラクター「なちゅまるくん」を採用したスタンプも取り入れ、無人のチャットボットでも人間味あるコミュニケーションを実現。顧客からは自由記入欄にも、さまざまな温かいコメントが寄せられていると言う。
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チャットボットが露わにする「企業の色」解約しても愛されるお店へ
「解約率の改善を目指すが、無理には引き留めない」という明確な目的を持ってツールを探し、自ら検分してRobeeを導入した北島さん。狙いどおりの成果が期待できそうだが、新たな気づきはあったのだろうか。
「解約理由について、『購入したものの飲みきれず余っている』がもっとも多いだろうということはわかっていましたが、Robeeの導入により解約理由の7割を占めることが明らかになりました。Macbee Planetさんにおうかがいしたところ、アンケートはちょっと良い感じに書く傾向にあるそうです。そうなると『余っている』は、私たちの思う量ではなく、商品が届いた時点で満足し、開封していない可能性もあるなと想像しています。また、解約の際にお客様が嫌悪感をもってやめているわけではないこともデータからもわかってきました。解約されるお客様のアクセス時間にも傾向が見えており、自分たちがイメージしていたペルソナと違う部分も出てきたのがおもしろいと思っています。今後、さらに情報が増えてくればお客様へのアプローチに活かしていけますから、データの蓄積が楽しみです」(北島さん)
「エリカ健康道場様のお客様が解約される時間帯で多いのは、朝の9時とお昼の12時で4~5割を占めます。私たちが持つデータによると、多くの通販企業において22時~24時までの2時間がピークであり、全体の6割を占めるため、エリカ健康道場様が特殊であることがわかります。推測するに、余っていることに気づくのが朝の9時とお昼の12時で、そのようなライフスタイルを送っていらっしゃるお客様が多いのでしょう。ならば、朝の時間帯に飲んでいただくにはどうしたら良いかという発想で施策を打っていくことで、解約率は改善されていくのではと考えられます」(佐野さん)
直近では、小さいサイズの商品を開発する、手軽に摂取できる形態にするといった取り組みをし、ゆくゆくはリアルの断食道場で体験するような提案プログラムの開発にも取り組んでいく考えだ。
さらにRobeeの導入により、北島さんは「お店のありかた」を見直すきっかけになったと言う。
「チャットボットというと最先端のツールのように思われがちですが、非常に泥臭いもの、リアルな接客に近いと感じています。私たちがECを始めた頃、楽天市場に出店していた人たちは『商品をどう売るか』よりも『お店を好きになってもらう』ことを核にしていました。たとえば梱包ひとつとっても、テープをどのように貼ればお客様が剥がしやすいかにこだわるといった具合です。Robeeの活用やデータを深堀りすることにより、会社の色が顕著に表れてきます。ある商品の定期購入を解約することになったとしても、お店のことは好きなまま、別の新商品の案内がそのお店から来たら、『あの「なちゅまるくん」のお店よね』と思い出していただき、またご縁がつながる、そんなお店を目指していければと思うようになりました」(北島さん)
「梱包のお話がありましたが、エリカ健康道場様は社内にロジスティクス部門を置かれ、本当に素晴らしい気遣いをされています。そういう通販企業様は、今後も残っていくと思います。Robeeは解約防止をお手伝いしますが、お客様が解約される際にも、お店の真心や思いが伝わるようなコミュニケーションツールでありたいと思っています。お問い合わせをいただく企業様の中には、『何がなんでも解約を止めてほしい』、『解約ボタンはいらない』といったオーダーをされるところもありましたが、残念ながら、そういったお考えのお客様はお断りさせていただいています。
北島社長にも共感いただいたコンセプトですが、解約の理由をきちんと把握し、対策し、なくしていけば、いずれ誰も解約しなくなりますよね。現実的には難しいですがそれが理想だと思います。リテンションマーケティングは、解約を止めることにフォーカスされがちですが、お客様の声を真摯に受け止め、商品開発やプログラムの改善に務めるというシンプルなことに尽きると思います。コロナ禍でECの利用が急増しました。何がなんでも解約を引き留めるといった通販全体にマイナスイメージを与えるやりかたが是正され、消費者が何を買っても喜べる、そんなEC/通販業界を作っていくお手伝いができればと考えています」(佐野さん)
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