ECサイトリニューアルにも役立つデータ整備のこころえ
――ECにかかわるデータを基幹システム等に集約するとリニューアルにも役立つということでした。データを整えるということを、もう少し具体的に解説お願いします。
田中(アナグラム) もっとも重要なポイントは、誰が見てもわかりやすいことです。データベースを管理をしている人が、オレルールで番号づけしていないとか。ルールが定まっていて、構造化されたものが「きれいなデータ」であると言えます。
森野(運営堂) 私は新卒で自動車部品メーカーに入ったのですが、自動車業界の品番って、作っている会社は違っても、最初から最後まで一気通貫で通っているんです。製造業はやはり、管理がしっかりしている。他業界の良いところを取り入れるのはひとつの手ですよね。
田中 ひとつの自動車を作るにも、いろんなところに部品を発注しているから、管理がきちんとしていないとダメなんでしょうね。
森野 ECも、実際にモノが動かないと商売にならないので、物流と品番管理は本当に重要だと思うんですよね。
田中 それを実現できる人を見つけることも重要です。エンジニアリングがわかり、マーケティングもわかる人。あんまりいないんですけどね。
森野 ECに強いシステム会社もあり、依頼すればデータ整備もやってくれるでしょうが、そこ任せになってしまう。それよりは、一度社内に入って整備してくれるエンジニアを採用したほうがいいと思います。
田中 そのエンジニアのキャリアも含めて準備しないといけないですよね。せっかく入社してくれたのに、働きにくいと感じてやめてしまうと、データ整備も道半ばで終わってしまう。
――そのエンジニアさんには、高い年収を払うということも含めてですね。
森野 大きい目で見れば、安い投資だと思いますけどね。
田中 そこを渋って、ECサイトを1ヵ月サイトを止めてしまうよりはずっといいですよね。
森野 一度投資して、土台ができれば長く使えます。長期間、ずっと調子が悪いより良いと思いますけどね。根本的な治療をせず誤魔化していると、飲む薬が増えていくだけなので。
田中 僕自身、マーケティング界隈出身ではない技術者で、いまでは運用型広告をやっています。これまでECやマーケティングにまったく縁がなかったエンジニアでも、やってみたらおもしろいと思ってくれる人はいると思います。エンジニアはもともと、数字に強い人が多いですからね。
森野 おもしろい仕事ですよね。ECは見るべき数字がたくさんあるし、どこかをいじると売上が変わることもよくあるので、やりがいを感じられると思います。
田中 ECは今、いちばんおもしろいことができる時じゃないかな。建設的な仕事でもありますし。
――データがまったくないということもないと思うんです。ゼロから作るのでなく、整っていないデータを整えるという場合にはどうしたらいいですか?
田中 その状態だと、今持っているデータが「整っていない」と気づくのも難しいかもしれません。データ関連の仕事の担当者が、1~2人くらいのチームだと、オレルールで回していても通じますからね。
森野 ECの仕事をしている人たちって忙しいので、根本的な解決をするよりは、状態が整っていなくとも、体力でどうにかするという選択をしがちなんですよね。
田中 新しいシステムを入れることで解決する課題でないことは確かです。
森野 でもECzineはじめ、ECで成功している人たちが正解を話してくれていますよね。それをやればいいだけだと思うのですが。
田中 ノウハウは世に出ていますからね。やるかやらないかですよね。