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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

ECzine Day 2019 KANSAI レポート(AD)

コマースだけでは不十分 マーケティング、サービスも加えた3点でカスタマージャーニーを意識せよ

AIと外部SNSとの連携が実現した顧客体験の好例

 創業20周年を迎え、SaaS企業として名が知られているセールスフォース・ドットコム。デマンドウェアの買収を機に、2016年からはコマースの領域にも進出している。

 Commerce Cloudは、セールスフォース・ドットコムが提供するコマース向けサービスの総称だ。世界中のサイトで稼働しており、その数は3,000を超える。BtoCとBtoBのいずれにも対応可能で、Einsteinと呼ばれる独自のAIが標準機能として搭載されている。

 商品や検索キーワードのレコメンデーションはもちろん、顧客に応じて商品の並び順を変えるPredictive SortもAIによって可能となっている。

 また、AIは顧客体験の向上だけでなく業務効率化にも役立っている。「商品Aをカゴに入れた顧客は商品Bもカゴに入れることが多い」などのデータがAIによって導かれ、アップセルやクロスセルを狙いやすくなるからだ。

 レコメンデーションを効果的に活用するには、適切なチューニングが必須となる。Commerce Cloudの場合はページごとの戦略設定、月次のKPIトラッキングなど、セールスフォース・ドットコムが丁寧にサポートを行う。

 アパレルブランドを複数展開するTSIホールディングスは、レコメンデーションをうまく使いこなせないという悩みを抱えていた。そこでCommerce Cloudを導入し、商品詳細ページのみならずトップページ、カテゴリページ、「検索結果なし」と表示されるページなど、あらゆるタッチポイントにレコメンデーションを設定した。継続的なトラッキングと改善を繰り返した結果、TOKYO STYLEというブランドにおいては単月でEinstein経由の売り上げがブランド売り上げ全体の14.9%を占めるまでになった。また、ROSE BUDという別のブランドではCommerce Cloud導入前の上半期に比べ、導入後の下半期はブランドの売上高が189.7%成長するなど、売り上げ全体の増加にも貢献している。

 伊勢路氏はここで、ECプラットフォーム、AI、外部アプリをつなぎ込むことでプレミアムな顧客体験を提供する北米のパーティーグッズ専門店Party Cityの事例をデモ形式で紹介した。

 Party Cityのメインターゲットは、小学生の子を持つ父母だ。この層は日頃から写真共有サービスのPinterestを利用する傾向にあるため、Party Cityはここを入り口に顧客体験を向上させられないかと考えた。

 Party City内で「Pick Your Photo」と表示されたボタンを押すとダイアログが開き、Pinterestの画像が表示される。そのなかから選ばれた画像はEinsteinのビジュアルサーチ機能で分析にかけられ、画像内に写り込んだもののうちParty Cityで購入可能なものが掲載される。

 従来はユーザーがInstagramからダウンロードした画像をGoogle検索にかけ、運が良ければParty Cityのサイトにたどり着くというフローが主流だったが、拡張性の高いCommerce Cloudを通して外部SNSをインテグレーションすることにより購入までをスムーズにつなげることができた好例だ。

 特定の商品を選ぶとポップアップが表示され、Einsteinによる商品レコメンデーションも行われる。類似商品はもちろん関連商品も掲載されるので、それらをユーザーの手でひとつひとつカゴに入れてもらうのではなく、まとめて購入できる仕組みもParty Cityには備わっている。また、デコレーショングッズのほか、パーティーを開くにあたって必要な招待状やPOP類一式もテーマを選ぶと自動的に表示してくれるので、買い忘れも防げる。

 デモではユーザーが200商品以上のパーティーグッズを一式購入していたが、短時間でこのボリュームの買い物を行える理由は、外部SNSとの連携と高度なレコメンデーションにあると伊勢路氏は強調した。

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カスタマージャーニーを捉えるための6つのポイント

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この記事の著者

渡辺 佳奈(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、現在はコーヒーショップで働く傍らライターとしても活動する。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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