カスタマージャーニーを捉えるための6つのポイント
Pinterestの例のように、Instagramなどの外部メディアからECサイトに流入する動きは増加傾向にある。伊勢路氏は「ただECサイトを運営すれば良いという世界ではなくなってきている」と語った。
オムニチャネルの進化系ともいわれるユニファイドコマースは、まさに「ECの世界をいかに効率良く拡張していくか」という考えかただが、世界のトレンドはさらにその先のユニファイドエンゲージメントに向かっているという。
「これまではコマースの中の体験だけを良くするユニファイドコマースが主流でしたが、今後はコマースだけにとどまらず、新規顧客を獲得する『マーケティング』、購入後の顧客育成をスムーズに行う『サービス』を含むカスタマージャーニー全体を意識する必要があります」(伊勢路氏)
カスタマージャーニー全体を捉えようとすると、道のりは非常に長い。注力すべきポイントとして、セールスフォース・ドットコムは以下の6点を重視している。
- 商品のおすすめ
- カゴ落ち
- クーポンの発行
- 注文の確認
- アップセル
- 代理注文
これらのポイントをカバーするために、セールスフォース・ドットコムではCommerce CloudだけでなくMarketing CloudやService Cloudなどの製品を組み合わせて提案している。Marketing CloudとCommerce Cloudを組み合わせると、1~3のように顧客の背中を押す仕組みを作ることが可能となる。
アスリート向け商品を提供しているドームの場合、Marketing CloudとCommerce Cloudをうまく組み合わせることでリピート購入者数やCVRを前年の3倍にまで増やすことができた。成功の秘訣は、顧客セグメントを適切に行ったうえで、それぞれに応じた施策を打った点にあるという。コマースのみならず、ブランドの全体の売り上げ向上にも貢献した好例だ。
シューズメーカーのクロックスは、Marketing CloudとCommerce Cloudを組み合わせ、従来の一斉配信メールからデータに基づいたOne to Oneメール施策に切り替えたことで新規売り上げを20%も獲得することに成功した。
Service CloudとCommerce Cloudを組み合わせると4~6がカバーでき、購入履歴などの顧客情報をしっかり握ったうえで企業側がアフターフォローにあたることができる。
Customer Thinkが、顧客からの問い合わせに対応するエージェントらを対象に行った調査の結果によると、「個別化されたエクスペリエンスの提供に必要な顧客情報を全て入手できている」と回答した人はわずか27%だった。同時に、84%のエージェントが「顧客データが全てそろっていることが重要」と回答した。
スポーツブランドのadidasは、1,100ものエージェントを世界中に抱えている。Commerce CloudにService Cloudを組み合わせることで、彼らが迅速かつパーソナライズされたよりスマートなサービスを提供することが可能となった。
「企業には迅速で正確な対応が求められるようになってきています。顧客やシーンに応じて多様な機能を使いこなさなければならないのに、それらの機能がバラバラに存在していては企業の動きが鈍くなってしまいます。Commerce Cloudの場合は、セールスフォース・ドットコムが提供する他のサービスとシームレスに連携することができるので、スピードを落とすことなく顧客との接点を強化することができます」(伊勢路氏)
拡張性の高いプラットフォームと高性能なAIによって、顧客体験向上とビジネス成長の双方を達成することができるCommerce Cloud。伊勢路氏は「ユニファイドエンゲージメントへシフトする企業を多様なソリューションの組み合わせで手厚く支援したい」と語り、本セッションを締めた。