DMは休眠顧客をアクティブ化する有効な手段となり得るか
デジタルではリーチできない顧客に対して、アナログ施策はどれだけ効力を発揮できるのか。これについては、「グローバルワーク」「ニコアンド」など国内外で25ブランド、約1,300店舗を展開するファッションカジュアル専門店チェーンのアダストリアが興味深い実験を行っている。
同社WEB事業本部シニアマネージャーの渡辺氏は、その内容を次のように説明する。
「休眠顧客をアクティブ化するという目的に対して、DMの有効性を検証する実験です。直近1年間にECおよび店舗での購入がなく、かつEメール受信を許可されていないお客様にDMを送り、送付後の約1ヵ月間でどれだけの方がアクションを起こすかを計測しました」
ターゲットとしてEメールで接触できない休眠顧客のうち、30代半ば~40代を中心としたアッパー層と、10代後半~20代半ばが中心のヤング層の2グループを抽出。DMの内容は、各層に適したブランドロゴと、ECサイトへ誘導するQRコード、「税込み5,000円以上購入で500円引き」のクーポンが印刷されたものだ。
「結果として、DM起因の購入者数は全体のうちシェア約2%、DMを送付していないユーザーと比較したアクティブ率は約200%に改善しました。施策のコストに対して短期回収は難しく、一度起こした後に継続購買につなげていくためにはその次のシナリオを準備する必要がありますが、『DMを使うことでデジタルではリーチできないお客様にアクションを起こさせることができる』というのは良い学びになりました。また、休眠顧客以外でターゲットやタイミング、訴求内容を編集してリトライすることで、DM施策がより有効な手段になり得ると考えています」(渡辺氏)
同社では今後の取り組みとして、ロイヤルカスタマー向けのDM、単一ブランドからのオファーやブランドの組み合わせをパーソナライズしたDMの効果検証なども検討しているという。