マーケティングリサーチとVOCの違いとは?
リサーチで確認すべき6つのポイント
こうして企画立案が形になったあとは、その需要規模をリサーチし、開発進行の是非を判断しましょう。せっかくコトバとカタチで表せるようになった製品プランです。闇雲に開発に移って、実際の製造試作などで具現化しようとしてしまう前に、ダミーのパンフレットやLPによるアンケート調査を行いましょう。いわゆるマーケティングリサーチの領域です。
製品プランのリサーチで確認すべき内容は、実はそれほど多くありません。いくつかのシンプルな質問で十分です。私は以下の方法を用いてそれぞれの製品プランについて確認します。
- 理解度─内容はちゃんと理解されたのか
- 魅力度─それは魅力的なものであったのか
- 購入意欲─それを実際に買いたいと思うのか
- 独自性─それは他所では手に入らなさそうなものなのか
- 値ごろ感─相応に感じる価格は幾らなのか(購入意欲のある人のみ参照)
- その他、自由な感想(フリーアンサー)
これだけで、開発フェイズに入って投資を行うに値するか、そうでなければどこを修正すべきなのかなど、次のアクションに進むための手掛かりを入手することができます。
ここで気をつけたいのが、とりわけ通販事業者に多く存在する、VOC(Voice Of Custmer)とマーケティングリサーチとの棲み分けです。顧客の声に耳を傾けて製品開発をすると聞くと、この両者はともに顧客の声に真摯に耳を傾けるという点では同じですが、本質的にその性格は大きく異なります。
マーケティングリサーチは、企画者が主体的に顧客に先んじて描いた未来像=製品プランに対して、顧客となり得る対象者から反応を得て、開発進行への手がかりを探す。その目的は事業投資効率の最大化にあります。
対してVOCは、顧客に寄り添ってその声に耳を傾けて丁寧に拾い上げ、現状改善の手がかりを探す。コールセンターの機能の延長線上にあることが多く、その目的は顧客満足の最大化にあります。
どちらも手法としてリサーチを用いるため、同一視されるケースが少なくありません。特にコールセンターの存在感が比較的大きい、九州に地盤を置く通販企業で多く見られます。そういった企業では、両者の役割をVOCに担わせることが多いようですが、目的が大きく違いますので、しっかりと切り分けて運営することをおすすめします。顧客の声に耳を傾けることは大切ですが、事業者としては一歩先の姿を見据えて道を切り拓くことも大切だと考えます。