インターネット花キューピットがウェブ接客ツールを導入した理由
インターネット花キューピットがKARTEを導入したのは2015年のこと。そもそもなぜウェブ接客ツールを導入することになったのか、大橋さんに聞いた。
「花のご注文はギフト向けがほとんど。自分のための買い物ではないから、なかなか選ぶのが難しいんです。まず、そこを少しでもサポートできるようにしたいという思いがありました」
しかし、ECサイトではどうしても一方通行の提案になりがちだ。たとえば実店舗で花束を買うときは、いろいろな花を見て、店員に組み合わせを相談しながら決めることも多い。そのような感覚が、既存のECサイトには欠けていた。
「デジタルでロジカルにというのも大事だと思いますが、それだけでは不十分です。ECサイトでも『人』を感じられるような接客ができないと、この先生き残れないでしょう。それを実現できるものは何かと考えてウェブ接客ツールの可能性に着目し、結果的にKARTEの導入に至りました」
法人向けサイトではチャットによる1対1の接客で顧客単価が向上
KARTEと並行して、2017年からは法人向けサイトの「ビジネス花キューピット」でチャット機能を主体とした接客ツール「OK SKY(オーケースカイ)」も活用している。
「法人用途はニーズが細かく、サイト上に用意している商品以外の個別対応など『購入前の相談ありき』なところがあります。そのたびに通常のお問い合わせフォーム経由ではお待たせしてしまうので、チャットでリアルタイムに対応できるOK SKYを導入しました」(大橋さん)
なお、OK SKYではIBM Watsonと連携したAIによる自動対応も可能だが、ビジネス花キューピットでは現状、オペレーターによる有人対応を行っている。花キューピットのカスタマーセンターには、加盟店への手配などを行うスタッフが通常30~40名ほど在籍(母の日の時期は4倍に増員)し、その中でチャット対応を担当するオペレーターが常時2名は必ず待機。理論上、1人あたり最大8名への同時対応が可能だという。
「もちろん有人対応だけでなく、今後はAIによるチャットの自動対応も順次取り入れていきます。法人向けサイトでそれが実用的に運用できるレベルになれば、個人向けサイトにも利用範囲を広げていきたいですね」(大橋さん)
OK SKY導入後の効果として、大橋さんは「当初の想定よりも良いもの(高価格帯の商品)」を購入してもらえるケースが増えたことを挙げた。
「通常、加盟店の実店舗での顧客単価はECよりも5%~10%ほど高いんです。実店舗の接客はお客様にとってそれだけ価値があり、満足度が高いということです。ECでも1対1の接客で適切な対応やご案内ができれば、実店舗に近いレベルでお客様にご満足いただけるようになり、それが売上にも直結することがわかりました」