Instagram運用を始めて見えた顧客像
1960年代~80年代頃のプリントグラスを復刻した「アデリアレトロ」。創業200年を超えるガラスメーカー・石塚硝子グループであるアデリア株式会社の人気ブランドだ。
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シリーズ立ち上げからInstagram運用を手掛けるフリーランスのSNSマーケター・桐本氏は、同社の元社員でもある。同氏は、Instagram運用の目的を「昭和の家庭で親しまれていた商品の情報を発信し、魅力を届けたい」と語る。
「Instagramの投稿を開始した当初は、販促のために既製品を紹介していました。その後、徐々に熱いファンに向けて新商品を開発する機会が増え、発信内容も変化しました。たとえば、新商品にファンの意見を取り入れるキャンペーンや、開発の裏側を公開する投稿に力を入れています。それによって、一緒に商品を作り上げる感覚を味わってほしいのです」(桐本氏)

「アデリアレトロ」立ち上げ当時のターゲットは「20代~30代のレトロ好き」だった。それが、Instagramを通じた直接的なコミュニケーションによって「20代~40代の女性」「ヴィンテージグッズが好き」「猫を飼っている」「ハンドメイドが好き」と、具体的なファン像が明確になったという。
一方、主に木製の家具を販売している「カリモク家具」は「もの作りの姿勢を様々な観点から言葉とビジュアルで伝える」を目的に、投稿を続けている。フォロワーの約半数が海外ユーザーだ。そのため、写真の下に日本語と英語で商品やブランドの特徴を紹介するテキストが挿入されている。そんなInstagramを通じたコミュニケーションのこだわりを、朝岡氏はこう説明する。
「Instagramでは、特に20代~30代の若年層に向けて情報発信をしています。投稿するのは、外部の建築家やプロダクトデザイナーと商品開発を行っているブランド『Karimoku Case』『Karimoku New Standard』『MAS』、ギャラリーやオフィスの機能を備えた施設『Karimoku Commons』などの写真です。
当社は、2021年の『Karimoku Commons』オープンをきっかけにInstagram運用の体制を整え直しました。ブランドの世界観を伝えて、同施設への来館が難しい方にも楽しんでもらえる発信を心がけています」(朝岡氏)