きれいなページではなく“売れる”ページを作るには?
マーケティング精度の向上に寄与する新ソリューションが登場する一方で、羽田野氏は「楽天市場内での戦い方を今一度見直す必要がある」と指摘する。
「当社が支援する事業者の中には、Amazonで広告費を2倍に増やしたものの、同モール内でのシェアが下がっているケースがありました。しかし、新規顧客は獲得できていたのです。つまり、Amazonでは継続的に新規顧客が多く流入しているのだと予測できます。これと比較すると、楽天市場では新規顧客の増加数は緩やかだと考えられます。改めて地道な顧客コミュニケーションが求められるフェーズといえるでしょう」
コミュニケーションのポイントとして羽田野氏が挙げたのが「ジャンルの状況」「競合比較」「レビュー分析」の3つだ。特に入れ替わりが激しい競合の動きを、定点観測していく必要があるという。
「自社が伝えたいメッセージと、顧客が抱くブランド・商品へのイメージがずれていることは珍しくありません。客観的に自社を見るために特に効果的なのが、自社・競合のレビューの分析です。なぜ顧客が該当の商品を購入したのか、理由や比較されている基準がわかると思います。
いくらきれいなページでも、売れるページになっているとは限りません。市場が成熟しているからこそ、自社の現在地を捉える必要があります。しっかり対策をすれば、売上は大きく伸びるはずです」
“あなただけ”を強調したプッシュ通知でYoY急成長の事例も
Amazonと楽天市場がデータ分析のソリューションを発表する中、Yahoo!ショッピングでは細かな機能追加・改善が行われている。そのうち、羽田野氏は「あなただけのタイムセール」機能、いわゆる「あなタイ」に注目する。
購買意欲の高い顧客向けに、24時間限定の特別キャンペーンをプッシュ通知で配信できる同機能。“あなただけ”という特別感や顧客に合わせたクーポン内容により、導入している事業者の間では売上増加の効果が得られているという。
「あなタイは、元々ファッションECモールの『ZOZOTOWN』で活用されており、一定の効果が見えたためYahoo!ショッピングにも横展開されました。ほかキャンペーンと比較して、割引率は0.1%しか増加していないにもかかわらず、YoYが急成長した事例もあります。買い物をする予定がなかった顧客に、訪問のきっかけを与えられる点もメリットの一つです。既に成果が出ている機能のため、ぜひ1度活用してみてください」