AIを活用し顧客への“個別対応”を進めるAmazon
2024年10月19日~20日まで開催された「Amazon プライム感謝祭 2024」。羽田野氏は「昨年は様子を見ていた事業者が、今年は本格的に参入した」と話す。いつも.が支援する事業者は、同セール期間中の売上が昨年よりも伸びているという。
そんなAmazonの動向を細かく見ていくと、新機能のリリースやアップデートが積極的に行われている。その一例として羽田野氏は、2024年にアメリカで提供が開始されたショッピングアシスタント「Rufus」を挙げた。
2024年11月7日に日本でもβ版が利用可能となった「Amazon ショッピングアプリ」向けの同サービス。Amazonで販売されている商品とウェブ上の情報を学習した生成AIが搭載されており、顧客からの質問への回答や、趣味嗜好に合わせたおすすめ商品の表示が可能だ。2024年11月時点で、国内の一部顧客のアプリ画面上にはRufusのチャットボットが追加されている。
「『商品Aと商品Bでどのような違いがあるか』といった質問にも、詳しく回答してくれます。今後、日本でもテスト期間を経て広く展開されるでしょう。Amazonが、AIを活用して顧客一人ひとりに向けた個別のサポートを提供しようとしている様子がうかがえます」
これに加えて、同社は近年、広告サービスの充実化にも力を入れている。同じく2024年11月7日には、Amazon Ads Japanが広告に関連した新機能や今後の戦略などを発表するイベント「Amazon unBoxed on Tour:Tokyo」を実施した。
当日紹介された新たな広告サービスの一つが「Prime Video広告」だ。既にアメリカ、カナダ、イギリスなどでは「Amazon Prime Video」に広告が表示されるようになっている。2025年以降は、日本でもAmazon Prime Videoの動画コンテンツに一部制限付きで広告表示が可能となる。
「これまでAmazonが提供する広告は、主に買い物をしている顧客に向けたものでした。しかし、今後はAmazon Prime Videoで動画を視聴している最中のように、買い物している人以外にもアプローチが可能となります。得られたデータで様々な場面の顧客行動が分析できるため、ターゲティングなど広告の精度がより向上するはずです」
羽田野氏は、前回もAmazon Prime VideoとECモールの連携に触れた。2024年7月に開催された「Amazonプライムデー」の先行セールが始まる当日に、恋愛リアリティー番組『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン3の最終話が配信された点に着目。同番組を目的に、Amazonプライムの会員となった新規顧客が、先行セールで買い物も行ったのではないかと予測した。Amazon Prime Videoで直接的にブランドや商品の訴求が可能となれば、ECモールへの送客をはじめ、より施策の幅が拡大するだろう。