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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

EC業務に変革をもたらすAI 共存の先に見えるものとは

接客を重視するブランドが自社ECでAIを育ててみた アルビオン・榊原氏が三つの学びと成果を共有

接客品質を維持しながら24時間対応の実現は可能なのか

 実際にお客様の立場になって考えてみましょう。気になった商品をSNSなどで見かけ、ウェブサイトやECサイトに行ってみた。そして、さらに気になる点があったので実際に質問をしたい、話を聞いてみたいと思った。──あなたは、どんな時間帯にそうした行動や気持ちになるでしょうか。きっと、仕事を終えて家に帰った後の深夜や休日など、予定や気持ちに余裕のある時間帯であることが多いはずです。

 また、ネットサーフィンをしていて気になる商品があったが、問い合わせをしてもすぐに回答が来ず、来た頃には欲しい欲が冷めてしまっていた……といった経験も多くの方がしていると思います。このように「聞いてみたい」「問い合わせをしたい」と考える時間帯と対応できる時間帯の不一致が起きていることを、前出のデータから改めて教わりました。

 では、営業時間を問わず少しでも早く回答をお届けするにはどうしたら良いのでしょうか。検討した結果、botだけでなくAIによる回答も取り入れようという考えにたどり着きました。

 どうやってAIをチャットツールに導入したかというと、既存のツールに存在するAI機能に目を向けました。当社では、元々オンライン上での接客ツールとして「チャネルトーク」を使用しています。前出のbotや時間帯分析のグラフも、チャネルトークの機能を使ったものです。同ツールに搭載されている生成型AIエージェント「ALF」を使って、AI対応を始めてみました。

「AIなんて……」から印象はどう変化したのか

 正直なところ、活用当初は「AIなんて……」という気持ちもありました。しかし、この印象は使い始める前後で大きく変わりました。冒頭の発言に戻りますが、今は「AIによるオンライン接客には大きな可能性がある」と断言できます。

 ここからは、実際に使ってみて感じた可能性や得た学び、実際の成果を三つ共有します。

1. お客様は意外とAIを選ぶ

 営業時間外の対応を想定したため、チャット開始画面の一番下に「AIに聞いてみる」ボタンを設置しました。

チャット画面
クリックすると拡大します

 開始してみると、1日のチャット件数の動きに変化が見られましたが、これが意外な結果でした。

  • AI導入以前の問い合わせ件数:有人チャット 30件/日
  • AI導入後の問い合わせ件数:有人チャット 23件/日、AI対応 15件/日、AI→有人チャットへ引き継ぎ 5件/日

 有人チャットの件数はそこまで下がらず、AIに尋ねる選択肢が増えたことでお問い合わせの総数は増加しました。これは開始から約3週間の結果ですが、問い合わせ件数の総数が増えていながら回答数も増やせている実感があります。

 ちなみにAIへの問い合わせは15件ですが、これは営業時間外だけでなく、有人対応している日中にもあえてAIに尋ねている方がいらっしゃいます。思いのほか、この件数が多く驚きました。

 あくまで想像の域ではありますが「AIなら早く回答が来そうだ」という期待感や、「有人チャットは少しハードルが高いから、AIにとりあえず聞いてみよう」といった気軽さがプラスの方向に作用しているのではないでしょうか。同業の仲間と意見交換をしても「今さら……と思ってしまうようなことは人には聞きにくいから、AIに聞いて素早く答えをもらいたいよね」とのこと。こうしたお客様の心の動きや思いを、AIが気づかせてくれました。

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AI育成はどれぐらいかかるのか

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この記事の著者

株式会社アルビオン 国際ブランド営業部 国内推販グループ長 榊原隆之(サカキバラ タカユキ)

1991年入社以来 営業として全国の化粧品専門店、百貨店の営業を担当。現在はアナ スイ コスメティクス、ポール & ジョー ボーテの国内販売の責任者。2018年から同ブランドのブランドサイトの立ち上げから運営も担当し、コスメのみならずファッション、ファッション小物までも販売している。現場営業、ECの...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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