AI育成はどれぐらいかかるのか
2. AIは育てるもの
「ALF」は、チャネルトーク内に用意されたコンテンツ「ドキュメント」と「FAQ」から回答を探します。この2ヵ所以外から勝手に答えを探し、頓珍漢な回答をすることはないため、安心して任せられる一方、正しい回答を素早く提供するにはこれらを充実させなければなりません。AIが回答できなかった質問は「ドキュメント」と「FAQ」に追記すれば、次回同じお問い合わせをいただいた際に回答できるようになっています。
「AIは育てるもの」という学びは、実体験から得たものです。「ALF」の活用を始めて3日ほど経った際に、EC担当のスタッフから「このAI全然だめですよ。もうやめましょう」といわれました。原因は、私の事前準備の足りなさから来るものです。
AIはインプットされた情報から回答を導き出すのですから、教えていない情報は当然ながら対応できません。そこで、スタッフには「新人が入ってきた時にいろいろと教えるでしょ? それと同じで、マニュアルにないことは学習してもらわなくちゃいけないの。だから指導してね」と伝えました。
それ以降、「ALF」はスタッフの厳しい指導を受けて成長し、今では一人前の接客をしてくれています。手応えを感じるまでは、しばらく時間がかかると理解してあげてほしいです。
3. AIの加入により、コミュニケーションが増えた
AIが対応・回答できるのは、前出のとおり既にあるコンテンツや過去のアクション(購入など)をもとにした内容です。AIが昼夜問わずこうしたお客様の悩みに対応してくれるようになり、有人チャットはこれまで以上に購入前のご相談へ時間を割けるようになりました。AIは既に店舗でのコミュニケーション量を大きく越え、質も少しずつ近づき始めていると感じています。
ECサイトに訪問してくださったお客様は、偶然ではなく検索などの「行動」を通じてたどり着いています。私はそのお客様にサイト上で快適に過ごしていただき、ブランドをより好きになってほしいと思い、何かできるか常日頃考えています。
チャット接客を開始したのも、その一つです。「聞いてみたい」「対話してみたい」という気持ちにお応えできるよう、施策をブラッシュアップしてきました。今回、AIが加わることで「今すぐ回答が欲しい」「とりあえず聞いてみたい」と考えるお客様の気持ちにもお応えできる環境が整いつつあります。
最初は「24時間対応」を実現するためのAI導入でしたが、取り組みを進める中で私は今まで気がつかなかったお客様の気持ちに触れることができました。今後も、技術を「効率化」ではなく「お客様のために」という観点で活用し、より大きな安心とご満足をお届けしてまいります。