ユーザーはいつ提案を聞いてくれる? タイミングを見定めたシナリオの描きかた
積極的な提案が求められるとは言え、アクションの数を増やすだけでは成果につながらない。むしろ、頻発することで嫌悪感を抱かれないよう注意が必要だ。そこで求められるのがリアル店舗の接客同様、「タイミングを見計らうこと」である。
しかし、具体的にどのようなタイミングにどのような情報を提供すれば良いのだろうか。深田氏は、ここで3つの事例を紹介した。
1. 検索結果のソート方法を案内する
商品検索後に表示件数が多すぎる場合に、「ソート機能」の提案を実施。目的の商品を見つけやすい状況を作り、購入完了改善率を112%に押し上げた。
2. 困っていそうなユーザーにチャットを案内する
気軽に質問ができる機能として近年注目を集めるチャットだが、「事例先企業では実際に利用するユーザーが数%程度であった」と、深田氏は振り返る。普及を図るには、「ユーザーの動きを見て、挙動が止まっている場合に『何かお困りですか?』とポップアップ表示するなどのアプローチがお勧め」だと言う。同事例では、結果的にチャット起動率が128%に上昇、購入完了改善率も116%を記録した。
3. 購入者にレビューを依頼する
レビューの依頼についても、タイミングが大切だ。ベストなタイミングのひとつとして挙げられるのが、購入後に再来訪した直後である。トップページに再来訪したユーザーに対して、「前回購入した商品はいかがでしたか?」などのポップアップを表示し、レビュー投稿を依頼。同事例では、レビューの書きかたやポイント付与などのメリットを提示したことで、レビュー投稿完了改善率を138%にまで上昇させた。
Sprocketでは、Web接客のシナリオを作り上げる際にリアル店舗のスタッフへヒアリングを実施し、意見を反映している。リアル店舗のスタッフは声がけの内容やタイミングはもちろんのこと、人によっては声をかける角度にまでこだわりや工夫を施しており、「アプローチ方法で効果が大きく変わることを体感している貴重な存在」と深田氏は語る。
「リアル店舗で行われている接客は、非常に高度なコミュニケーションと言えます。Web上でこのレベルを完全に再現するのは難しいとしても、接客ツールで近づけていくことは可能です」(深田氏)
こうした考えに基づき、Sprocketではリアル店舗のスタッフによるコミュニケーションを参考にした「マルチステップWeb接客」を実施している。同接客は、「声をかける」「質問を投げかける」「奥まで案内する」の3ステップを動画の入ったポップアップで再現するものだ。
「こうしたステップを踏むと、ユーザーは『気づき』を得ることができ、もともと購入するつもりがなかった商品の購入につながる可能性が生まれます。
ポップアップの表記内容は、ニーズの自覚の有無によっても受け取りかたが変わりますが、自覚がない状態でもユーザー視点で情報提供を行えば『気の利く提案』と評価され、リピートにつながるでしょう。反対に企業視点で行う一方的な情報提供は『売り込み』と受け取られてしまうため、注意が必要です。
ニーズを自覚するユーザーに向けては、何らかのつまずきを解消することが良質な顧客体験の提供につながります。しかし、企業視点ではこうした施策実施もマイナスに映る可能性があるため、気をつけなくてはなりません。ぜひポイントを押さえ、ユーザー視点で最適なアプローチやシナリオを考えましょう」(深田氏)
コンバージョン率を改善したい方にお勧めの資料 「顧客を動かす」訴求メッセージ
些細な表現の違いが、コンバージョンや売上に大きく影響することは少なくありません。顧客視点に立ち、「気の利く提案」や「つまずきケア」となるメッセージ発信が重要となります。この資料では、コンバージョンに影響する「訴求メッセージ」の言葉選びについて解説します。