ZOZOTOWNのトラフィックを実店舗に開放する コミュニケーション創出も狙うZOZOMO
2019年9月に代表取締役社長が交代し、新体制として地固めを行っていた最中に押し寄せたコロナ禍。これまでZOZOTOWNに出店する多くのブランドが売上の柱としてきた実店舗での営業が思うようにできず、2020年の国内アパレル市場規模も前年比81.9%の7兆5,158億円(矢野経済研究所調べ)と縮小する中、ZOZOでは「日々多くのお客様が訪れるZOZOTOWNの運営企業として、ファッション業界に貢献しなくてはならないという考えに至った」と風間さんは説明する。
「再びファッション業界を活性化させるには、ZOZOTOWN内にお客様を囲い込むのではなく、トラフィックをさまざまなチャネルに開放し、お客様がいつでもどこでも商品を手に取りやすくなる環境を作る必要があると考えました。こうした構想から生まれたのがZOZOMOです」(風間さん)
ZOZOMOでは現在、2019年5月よりサービス開始していたZOZOTOWNと自社ECの在庫一元管理を実現する「Fulfillment by ZOZO」を含めた3つのサービスが展開されている。
- ZOZOTOWN上での「ブランド実店舗の在庫確認・在庫取り置き」
- ショップスタッフの販売サポートツール「FAANS」
- ブランド自社ECとZOZOTOWNの在庫シェアリング「Fulfillment by ZOZO」
いずれもZOZOTOWNとブランド自社EC、ブランド実店舗の垣根をなくし、送客や実店舗で働くショップスタッフとEC上の顧客の接点創出を実現することで、ブランドのOMO推進を支援すべく設計されたものである。ZOZOMOローンチ当初から、ZOZOTOWNで実店舗の在庫確認ができる仕組みをユナイテッドアローズやシップス、F・O・インターナショナルなどの複数ブランドが導入し、「ローンチ時点で、約700店舗で活用されている状況」だと言う。
「ZOZOMOの構想は、コロナ禍に入る前の2020年初頭から存在はしていました。コロナ禍に入り、刻一刻と状況が変わる中、ZOZOとしても大きく方向を示していかなければならないと本格的に施策検討、開発が始まったのは2020年の11月頃からです。そのため、提供するサービス内容には少なからずコロナ禍とその後の世界への展望が反映されていると言えます。
たとえば、ブランド様が在庫をZOZOTOWNと実店舗、自社ECで別個に管理している場合、『ZOZOTOWNでは売り切れているけど、実は近隣店舗には在庫がある』といったことが起こり得ます。どうしてもその商品が欲しいお客様はわざわざ実店舗に問い合わせをしたり、直接足を運んだりして商品を探しますが、そうでないお客様はZOZOTOWNで売り切れている時点で離脱し、機会損失が起きてしまいます。
ZOZOMOで提供するブランド実店舗の在庫確認・在庫取り置きサービスを活用いただくと、ZOZOTOWNからすぐに店舗の在庫を見ることができ、画面上でそのまま取り置きまで行うことが可能です。そのため、顧客満足度の向上と実店舗への送客につなげることができると考えています。商業施設のクレジットカードやポイントカードを所持していて、『できればこの実店舗で買いたい』と考えるお客様の要望にも応えることができますし、ショップスタッフの方々も『この商品を受け取りに来るお客様がいる』とわかれば、接客やコーディネート提案の準備ができるため、より円滑なコミュニケーションが可能となるでしょう。会話が盛り上がれば、お客様にとっても『実店舗でファッションアイテムを買う』という行動がより楽しくなるはずです。こうした副次的効果にも期待し、開発を進めました」(風間さん)