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季刊ECzine vol.15特集「Focus One Customer~OMOが生む新形態のコミュニケーション~」

「売らない」店で本音を聞く 体験の場を生むb8taが考える日本流OMOの進めかた

 ものを手に取る体験は、デジタル化できない。コミュニケーションで見えない声を可視化する。 ※本記事は、2020年12月25日刊行の『季刊ECzine vol.15』に掲載したものです。

 2020年8月1日、東京の有楽町と新宿に新形態の小売店が誕生した。「b8ta Tokyo(ベータ トーキョー)」と名づけられた同店は、「RaaS(Retail as a Service)」と呼ばれるビジネスモデルを用いて、小売事業者に向けたサブスクリプションモデルを展開。スタートアップやD2Cブランドをはじめとしたさまざまな事業者に顧客とリアルの場で触れ合う機会を与えるのみならず、顧客に向けても購入を強いることのない純粋な「体験の場」を与えている。アメリカ発の企業であるb8taの視点から見る、日本流のOMOやこれからのものの売りかたについて、ベータ・ジャパン合同会社でカントリーマネージャーを務める北川卓司さんに話を聞いた。

ベータ・ジャパン合同会社 カントリーマネージャー 北川卓司さん

初日来店客数は1,000名以上 デジタル活用で密の回避も

 b8taは、2015年にアメリカ・サンフランシスコにて創業。わずか5年でアメリカとアラブ首長国連邦に計24店舗を構え、3ヵ国めの進出国として選んだのが日本であったが、進出の決め手は、アメリカの店舗に訪れる日本人の声によるものだったと言う。とくに、3店舗を有するサンフランシスコには日本企業の支社も多く存在するため、日本人駐在員が日常的に訪れるほか、店舗視察や観光の一環としてわざわざ訪れる人々の姿も多数見られたそうだ。こうした反響を受け、ファウンダーらも日本のガジェットファンの感度の高さや成功の手応えを感じ、出店を決意。当時、ダイソンで東京統括部長を務めていた北川さんは、縁あって2019年11月よりb8ta Japanの立ち上げを担当することとなった。

 2017年頃よりファウンダーが日本進出を検討し始めてからおよそ3年の月日が経ち、満を持して東京にふたつの店舗を構えた「b8ta Tokyo」。コロナ禍で客足の予測も困難な時期のオープンではあったが、十分に好調なスタートダッシュを切ることができていると北川さんは語る。

「オープン当初から、想定していたよりも遥かに多くのお客様にお越しいただき、初日は両店舗とも1,000名以上の来店を記録しました。もちろん密を回避する必要があるため、有楽町店ではb8taの特徴でもある店内に設置されたカメラを活用して店内の客数を常時把握し、入口で入店制限を行いながら運営、平場で店舗展開を行っている新宿マルイ店では区画ごとに距離を置いた展示を行うなどの工夫を施しています」

 オープン時には、北川さんも自ら店頭に立ち入場整理や顧客の声に耳を傾けていたそうだが、来店のきっかけは大きく二分されていたと言う。

「日本進出が決まった後から、多くのメディアに取り上げていただいたこともあり、『メディアを見て来た』という方が多かったのですが、それと同時に『人が並んでいたから来てみた』という方もいらっしゃったのが印象的でした。地の利の良い場所に出店することができたと手応えを感じています。お客様の声も総じてポジティブなものが多く、『楽しかった』と言って帰っていただける店舗作りができていると感じています」

 オープン当初の出品点数は、2店舗合わせて145種類以上。順調に「サービスとしての小売」という新たな概念を日本に広めつつあるが、実際に顧客とコミュニケーションを取る中で得た発見もあったと北川さんは続ける。

「b8ta Tokyoには、日本進出に向けたテストマーケティングの意味合いで出品された商品も展示されています。こうした商品に対し、着々とお客様の定性的な声を得ることができている一方で、『購入したかった』という声も非常に多く、良いものに出会えたのに買うことができなかったというがっかり度の大きさを担保する方法を考える必要があると感じました。今すぐ欲しい方からは『海外のECサイトであれば購入できるのか』といったような具体的なご質問もいただいていたので、お客様の要望に応じた手段を提示しながらも、今後日本で販売開始した際には、今回獲得している顧客情報を基にお知らせをお送りするなど、きちんとしたフォローを行っていく予定です」

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ECzine編集部 木原 静香(キハラシズカ)

ECに関する情報を、さまざまな切り口からお届けできればと思います。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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