置き配とは?利用状況と再配達率
まずは、置き配というサービスの概要と、現状について解説します。
置配とは
置き配とは、受取側があらかじめ指定した場所に荷物を届けてもらうサービスです。 玄関前・物置の中・車庫・メーターボックス・置き配バッグや宅配BOXなど、同一の住所内であれば非対面で荷物を受け取れます。
不在時だけではなく、在宅で手が離せない場合なども利用できます。再配達の連絡をしたり、荷物の到着時間と タイミングを合わせなければいけなかったりという手間が省けるので、利用が急増しています。

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8割弱の人が置き配を利用したことがある
ヤマト運輸の調査によると、置き配を利用したことがあるという人の割合は全体の78.5%という結果でした。地域別で見てみても75.5%~81.4%と大きな差はなく、全国的に置き配サービスの利用が進んでいることがわかります。
2024年の再配達率は改善の傾向
国土交通省の調査では2024年4月の再配達率は約10.4%となっており、前年同月(約11.4%)と比べて約1.0ポイント減でした。置き配サービスの浸透による効果であるかは定かではありませんが、再配達率が改善傾向にあることは確かです。
置き配のメリット

置き配は非常に便利なサービスです。使い方を押さえておくことで、大きなメリットが生まれます。置き配にどんなメリットがあるのか、4つのポイントをご紹介しましょう。
非対面で受取ができる
置き配は非対面で受取ができるメリットがあります。人との接触を極力避けたいという人もいるでしょう。また、忙しくて手が離せないときに不在扱いになってしまったという経験をされた方も多いのではないでしょうか。
置き配の設定をしておけば、仮に在宅している場合でも、非対面で荷物を受け取れます。
不在時でも確実に受取が可能
日時指定をしていたけれど、急な予定が入って時間までに帰れなくなった……そんなときでも置き配サービスを利用すれば、確実に荷物を受け取ることができます。
すぐに利用したい商品などの場合、不在票で再配達を依頼するのは非常に手間がかかります。時間によっては翌日以降になってしまうことも考えられるでしょう。置き配を使えば、不在が多い方でも再配達の手間を省くことができます。
行動や時間の制限がない
時間やタイミングがなかなか合わず、荷物が受け取れない人もいるでしょう。在宅の時間が不規則なライフスタイルの人にとって、置き配は効率的に荷物が受け取れるサービスです。あらかじめ置き配の指定をしておくことで、行動や時間の制限が不要になります。
場所を選べる
置き配は場所を選べるメリットもあります。
スタンダードな場所は玄関前ですが、一軒家の場合は物置・車庫・自転車のカゴ・設置した宅配BOXなどが指定可能です。集合住宅の場合は管理人預け・ガスメーターボックスなども利用できます。
それぞれのライフスタイルに合わせて、都合の良い場所を選べるため、安心して利用できるでしょう。
置き配のデメリットとは?

便利な置き配サービスですが、利用する際には注意したいデメリットも存在します。どのようなデメリットがあるのかを理解し、トラブルに遭わないよう注意が必要になります。ここでは置き配の課題ともいえる3つのデメリットをご紹介します。
盗難
置き配最大のデメリットは、盗難の可能性があるということです。特に玄関前を指定し、荷物をそのまま置いてある状態は避けたいもの。
オートロックのマンションでも被害がでていることから、できれば外から直接見えないところを指定することをおすすめします。
ちなみにAmazonは、置き配の盗難被害に遭った場合、商品の再送や返金などの補償制度があります。購入するショップや配送会社によって補償の内容や範囲は異なりますので、購入前に確認をしておくと良いでしょう。
汚損・破損
置き配の指定した場所によっては、汚損や破損の可能性があります。
- 玄関前に指定したら雨に濡れてしまった
- 物置に荷物を入れてもらったが不安定な状態だったため落下して商品が破損してしまった
- 軽量の荷物を自転車のカゴに入れてもらったら風で飛ばされてしまった
せっかく注文した品が配達後に汚れたり壊れたりするのは非常に残念です。指定する場所や荷物の形状によっては、デメリットもあるということを覚えておきましょう。
誤配
置き配ならではのデメリットとしては、誤配が挙げられます。
- 他人の荷物が届いた
- 届くはずの荷物が届かない→他所へ配達されてしまった
現在、宅配の需要はこれまで以上に大きくなっており、これまでの対面での宅配であれば防げたはずのミスも、置配などの登場によって増加傾向にあります。
受取側のミスではありませんが、対面ならリアルタイムで気付けるミスともいえるでしょう。誤配から再送の手続きには手間と時間がかかります。置き配は荷物を間違えられてしまう可能性もあるのだということを知っておくことが大切です。
置き配を実施している配送会社・企業のサービスの特徴
現在置き配サービスは、大手の宅配会社やECサイトで対応が可能になっています。必要な手続きは異なりますが、代表的な配送会社・企業の置き配サービスをピックアップしてご紹介します。

日本郵便
日本郵便では以下の条件が満たされる場合、置き配サービスを実施しています。
- 郵便受箱または差入口に入らないゆうメール・ゆうパケット・郵便物
- ゆうパック・レターパックプラス・国際郵便物
- 住所内の場所
- 外から見えず事故の恐れがない場所
- 雨などで汚損の可能性がない場所
また、書留郵便物やセキュリティゆうパックについては、次の条件もあわせて満たしていれば置き配が可能です。
- 施錠ができる宅配BOX
- 受領証発行機能を備えたロッカーもしくはアンカーで固定されたBOXなど
日本郵便の置き配サービスを利用するには、ウェブから「指定場所配達に関する依頼書」の提出が必要です。 宅配ボックスまたは玄関前鍵付容器が設置されている場合は、「指定場所配達に関する依頼書」の提出を省略することができます。
佐川急便
佐川急便の置き配サービスでは、以下の7つの場所であればサービスを利用できるとしています。
- 宅配ボックス
- 玄関前
- ガスメーターボックス
- 車庫
- 自転車のかご
- 建物内受付/管理人
- 物置
佐川急便ウェブサービスのスマートクラブまたは佐川急便LINE公式アカウントから申し込みができるため、事前の会員登録が必要です。
また、配達記録の管理のため、配達ドライバーが荷物を置いた状況の写真撮影を行います。撮影に同意できない場合は置き配サービスを利用できません。
ヤマト運輸
ヤマト運輸では、クロネコメンバーズ会員に登録するとクール宅急便・代引き(宅急便コレクト)・宅急便着払い以外の荷物は置き配サービスを利用できます。
置き配の場所として指定できるのは、次の通りです。
- 玄関ドア前
- 宅配ボックス
- ガスメーターボックス
- 物置
- 車庫
- 自転車のかご
- 建物内受付/管理人預け
置き配した荷物は、宅配ボックスまたは建物内受付/管理人預け以外の場所であれば、配達ドライバーが撮影した写真を確認することが可能です。
提携オンラインショップからの荷物を対象にした「EAZY」
ヤマト運輸は連携したオンラインショップで購入した荷物を対象に「EAZY」という置き配サービスを提供しています。設定方法は、以下の3つのうちいずれかを選択して行います。
- 商品購入後に届くお届け予定通知
- LINE(クロネコメンバーズ限定)
- オンラインショップで注文時に設定
提携しているオンラインショップは複数あり、以下は一例です。
- Amazon
- ニッセン
- ZOZOTOWN
- LOHACO
- メルカリ
- Yahoo!オークション
- Yahoo!フリマ
- ユニクロ
- 無印良品
Amazon
Amazonでは、置き配のオプションが利用可能です。玄関への置き配が初期設定となっていますが、宅配ボックスやガスメーターボックスなどに変更できます。在宅でも不在でも置き配となるため、置き配以外の配達方法(対面など)を希望する場合は、配送オプションでの変更が必要です。
Amazonの置き配は、発送通知メールに「Amazonでお届けいたします」と記載されている場合に利用できます。配送状況画面でお届け済みとなっているのに荷物が届いていないといった場合には、Amazonならではの補償対応もしてくれるので安心です。
楽天市場
楽天市場では、注文時に「置き配」を選択できる商品のみ置き配サービスを利用できます。置き配の希望場所を第2希望まで選択でき、以下が選択肢となっています。
- 玄関前
- 玄関前鍵付容器
- 宅配ボックス
- ポスト(郵便受箱)
- メーターボックス
- 物置
- 車庫
また、次の条件に該当する場合には置き配サービスを利用できません。
- 1万円(税込)を超える注文
- ご注文者様の住所とお届け先の住所が異なる場合
- 楽天会員としてご注文いただいていない場合
- ポイント交換商品の場合(商品名に【ポイント交換限定】と記載)
- 代金引換、コンビニ店頭支払い
- コンビニ店頭受取
盗難などのトラブルがあれば、補償を受けられる場合がある点も嬉しいポイントです。
LINEヤフー
LINEヤフーが運営するYahoo!ショッピングは、ヤマト運輸のEAZYと連携しているため、置き配サービスの利用が可能です。各商品ページにて「すべてのお届け方法とお届け日を確認する」から、置き配に対応している商品かどうか確認できます。
置き配のトラブル回避方法を紹介!
盗難・汚損や破損・誤配など、置き配だからこそ起きてしまうトラブルの数々。では受取側がどのようなことに注意をすればトラブルに巻き込まれないのでしょうか?
宅配ボックスの設置
玄関前に宅配BOXを設置することで、盗難・汚損・破損のトラブルを防ぐことができます。
設置工事のいらない置き型のスタンドタイプ・鍵やワイヤーの付いている折り畳みタイプ・ポスト一体型のタイプなど、生活環境に合わせた宅配BOXが市販されています。
- 置き配に適した指定場所がない
- 玄関前においてもらったら盗難に遭ったことがある
- 留守にすることが多く常に置き配を指定している
上記のような条件の方は、宅配BOXを設置することで、未然にトラブルを回避できます。折りたたみ式のものや2重ロックができるもの、デザイン面にこだわったものなど、さまざまなタイプがあるので、ぜひ設置を検討してみてください。
防犯カメラの設置
防犯カメラの設置は非常に有効なトラブル回避方法です。
防犯カメラは犯罪の抑止効果が高く、被害に遭ったときの証拠映像になります。コストは決して安くありませんが、絶大な効果が見込めるため、導入されているご家庭も少なくありません。
- 日中不在にしていることが多い
- 閑静な住宅街で人通りが少ない
- 落書きなどの被害に遭ったことがある
- 宅配の業者と荷物のことでトラブルになったことがある
人目の少ない住宅街などは意外にも盗難の被害が多く、さらに車へのいたずらや落書き、自転車の盗難なども地域によっては頻発しています。
防犯カメラは盗難だけではなく、万が一業者側の不手際があった場合なども確認できます。効果を求めるのであれば、防犯カメラの設置をおすすめします。
コンビニ受取の利用
置き配が難しい状況であれば、コンビニ受取を利用しましょう。
- 玄関前にスペースがなく宅配BOXを設置できない
- ECサイトの利用が少ない(頻繁に荷物が届くことはない)
- 置き配に適した環境・場所がない
以上のようなケースでは、24時間営業のコンビニ受取が便利です。
購入したショップや配送会社によって取り扱いのあるコンビニが異なります。自宅の近く・職場の近くなど、どのコンビニに受取に行けばよいのかを確認した上で利用するようにしましょう。

置き配利用のよくある質問・注意点
「不在にしていることが多い」「在宅中でも対面で対応できない」などの理由から置き配を利用したいと思っていても、不安や疑問が残っているという人もいるでしょう。そこで、ここでは置き配の利用に関するよくある質問や注意点をまとめました。
置き配と宅配ボックスの違いは?
置き配とは、指定した場所に荷物を置いて配送するサービスのことです。宅配業者により異なりますが、玄関前や物置などの場所を指定できます。
宅配ボックスとは、配送された荷物を入れておく鍵付きのボックスのことで、置き配サービスにおける置き場所の選択肢の一つです。
置き配できないケースはある?
宅配業者によって置き配に対応できる条件が定められています。たとえば、クール便や代引き、着払いの荷物は置き配に対応していません。また、高額な商品や医薬品など、販売元が置き配を禁止している荷物に関しても置き配できないため注意が必要です。
置き配ステッカーとは?張り紙は有効?
置き配サービスが一般化している中で「置き配OK」などの内容が記載されたステッカーを貼っている家庭も見受けられます。置き配ステッカーは配達ドライバーに置き配の希望や置き場所を指定する際に便利かと思われますが、ほとんどの宅配業者は手続きしなければ置き配に対応していません。
また、「置き配してください」などの張り紙による指定も、原則として受けられないことになっています。置き配を希望する場合は、各宅配業者の指定する手続きを行いましょう。
マンションなどがオートロックの場合、置き配できる?
オートロックのマンションの場合、玄関前やガスメーターなどの置き場所には置き配できない場合がほとんどです。在宅の際には配達ドライバーがインターホンを鳴らしてオートロックを解除することで置き配に対応してくれますが、不在時には置き配が難しいでしょう。宅配業者によっては「受付」や「管理人」を選択できます。
また、ヤマト運輸のEAZYではオートロックを解錠することを事前許諾したマンションであれば、デジタルキーでオートロックを解除して置き配に対応できる場合があります。
置き配した荷物が盗まれたときはどうする?
置き配でもっとも心配なのは盗難のリスクでしょう。置き配の荷物が盗まれた際の補償は、販売元や宅配業者によって異なります。補償対応していない場合もありますが、Amazonやヤマト運輸などは条件によっては対応できるため確認しましょう。
また、荷物の盗難は立派な犯罪です。警察への被害届の提出も忘れてはいけません。
置き配指定の前によく確認し、賢く利用しよう
インターネットショッピングを頻繁に利用する人のなかには、「仕事が忙しくて不在が多い」「在宅時でも手が離せない」など、対面での荷物の受け取りが難しいこともあるでしょう。従来の宅配サービスが抱えていた課題を解決するために生まれたのが、置き配です。
置き配にはメリットもデメリットも存在します。また、各宅配業者や通販事業者によって置き配に対応できる条件が異なり、手続きの方法も違います。自分のライフスタイルや生活環境を考えて、賢く置き配を利用しましょう。