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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECzine Day 2021 Spring レポート(AD)

OMO推進をアプリで実現 バロックジャパンリミテッドが「シェルターパス」で作るファンとのつながり 

ブランドシフトで企業全体のLTV向上を図る アプリ成功の鍵とは

 最後に篠田氏は、シェルターパス開発時に重点を置いた3つのポイントと効果について説明を行った。ひとつめは、アプリインストールから会員登録までの導線の最適化だ。これにより、顧客接点としてすでに機能している店舗やECサイトをアプリ集客の柱とすることに成功している。

 ふたつめのポイントは、アプリとECサイトの連携を強固にしたことである。これは顧客体験向上、アプリ経由の売上獲得双方において、非常に重要なポイントと言える。同社は、リピーター向けチャネルであるアプリの特性を踏まえ、独自の体験を作り込んだ。良質な顧客体験を構築することで、顧客の利用頻度をアップし、リピーター化とLTV向上につなげる。成功の鍵を握るのは、F2転換率の向上である。

 3つめは、アクティブ率向上のため、買い物時以外にも使える機能を強化し、アプリが生活の一部となるように工夫したことが挙げられる。バロックジャパンリミテッドは、このポイントを押さえた結果、コロナ禍でEC売上を大きく伸ばしている。具体的な施策としては、「STAFF START」連携を導入し、スタッフのコーディネートを掲載。コーディネートには着用アイテム情報が付与され、気になる商品はすぐにチェックできるようになっている。購買前の商品認知・検討の役割を担う同機能の実装により、課題となっていた購買時以外の使途をアプリに見出すことに成功した。

 シェルターパスでは、2021年2月にSTAFF START表示ページをすべてネイティブ化し、コーディネートと関連商品情報の閲覧をよりスムーズに表示できるようバージョンアップしている。この改善により、アクティブ率向上という成果にもつながっていると言う。同社が実施した「コーディネート情報や、着用アイテムの情報が役に立ったか」という顧客アンケートでは、8割の顧客が「とても満足」「満足」と回答しており、実際に売上の3分の1はコーディネートを閲覧してから購入したものという結果も出ている。

 コーディネートページは、コンテンツとして日常的に目で見て楽しむのみならず、購買を喚起するトリガーとしても作用していることが推察される。篠田氏は「ランチェスターの分析によると、こうしたコンテンツを保有するアプリは、2020年4月から5月にかけて発令された緊急事態宣言時に、リピーター顧客からのアクセス獲得に成功し、結果的にEC売上アップにも成功していた」と補足する。

 なお、2021年2月のアップデート時には、ユーザー投稿によるコミュニティ形成機能も追加。スタッフコーディネートに加え、UGCの量・幅を広げ、購買時以外のアプリアクティブ率をさらに上げていくことが狙いだ。

「今後は、顧客のライフステージの変化に合わせて、新たなファッションの提案ができるアプリとしてシェルターパスをさらに進化させ、バロックジャパンリミテッド全体の売上アップにより貢献していきたいと考えています」(篠田氏)

 年齢や環境が変化するにつれ、好きなブランドと距離を置いてしまう顧客も存在するのがアパレルブランドの現実と言える。複数ブランドを抱える企業としては、次に選ばれるブランドもまた自社ブランドであることが理想的であり、その提案ができればスムーズなブランド移行も可能となる。シェルターパスは、まさにその世界を目指し、個々のブランドファンとのつながりを深めるだけでなく、顧客の変化をとらえ、次のステージの提案、つまりブランドシフトを自然な形で促す戦略を取ろうとしている。篠田氏は、最後に同社の取り組みについてこのように語り、セッションを締めくくった。

「バロックジャパンリミテッドは、企業として顧客と長くつながりを形成することを目指し、LTV向上を図っています。CRMの視点も持ち、企業全体の価値や利益を高めようとしている点は、多くの企業にとって非常に参考となる事例と言えるでしょう」(篠田氏)

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この記事の著者

景山 真理(カゲヤマ マリ)

フリーランスのライター。EC店舗、タウン情報誌制作会社、マーケティング支援企業などへの勤務経験を経て、ウェブメディアや雑誌をはじめとする紙媒体のライティングの仕事をしています。専門領域はデジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、ECのセールスメルマガ、仕事・働きかた、デジタルトランスフォーメーションです。 ウェブ●Mari Kageyama Writing Works

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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