CVR20%アップ、売上30%アップも 購買につながるアプリ活用事例
続いては、吉留氏がYappli導入企業のスマートフォンアプリ活用法を紹介した。ひとつめは、マキシムが運営するレディースアパレルブランド「神戸レタス」の事例だ。同ブランドはECメインで展開しているが、Yappli導入以前はメルマガ開封率の減少やアプリ開発におけるスクラッチ開発が難航しているといった課題を抱えていた。コンテンツ更新をより迅速に行うべく、Yappliを用いたリプレースを決めたと言う。
若い女性が主な顧客である同ブランドは、絵文字をふんだんに用いたり、思わず開きたくなる寸止めの文言を多用したりと、プッシュ通知の活用に工夫を凝らしている。コンテンツ更新頻度を高める策としては、ウェブサイトの更新情報をスマートフォンアプリに反映できる「WebView機能」を活用。同機能を用いることで、ウェブサイトとスマートフォンアプリ双方の強化が実現可能となる。
同ブランドは、コロナ禍においてより多くの顧客と密度高くつながるため、Instagramのライブ配信を連日実施。ストック型のコンテンツとしてYouTubeを活用した動画配信も行うなど、スマートフォンアプリ施策に限らず複合的なコミュニケーションを行ってきた。その結果、コロナ禍のCVRを20%以上アップさせることに成功したと言う。島袋氏は、「SNSなどで密なコミュニケーションを図りつつ、アプリで購買の受け皿をしっかりと用意していたことで、機会損失なく売上につなげることができた」と解説した。
ふたつめの事例として、吉留氏はアメリカ発のスポーツ用品メーカー「アンダーアーマー」を紹介。同社は日本各地に実店舗を展開しつつ、オンライン上での顧客とのコミュニケーションはメルマガを中心に行っていたと言う。
新たなタッチポイントとして、Yappliを活用したスマートフォンアプリ開発を行った同社は、アプリ内で顧客の興味関心に合わせたプッシュ通知やコンテンツの出し分けを実施。既存の顧客データを活用し、購買履歴に基づいたセグメント配信や男女別のトップ画面表示のみならず、セールの案内や購買間隔が空いた顧客への新作紹介など、1to1での情報発信を実現している。
こうしたきめ細やかなコミュニケーションを実施した結果、同社のECサイトの売上はスマートフォンアプリ導入後に30%アップ。ロイヤリティ高い顧客へ届いていることの裏づけとして、アプリ経由でのECサイトへの流入数はウェブやSNSの9倍、メルマガと比較した購入回数は約120%、顧客単価は約145%もの差がついている。結果を受け、同社は実店舗での商品購入時にスマートフォンアプリの画面を見せることで商品を割引する施策を実施。購入のたびに利用可能な特典を付与することで、利益率を下げることなくさらなる成果を得ることに成功していると言う。
「同社はスマートフォンアプリを活用し、ブランドの世界観としてのUI/UX、パーソナライズされた情報、良質なコンテンツといった価値の付与を行うことでロイヤリティを高めています。こうした取り組みが結果的に『顧客単価×頻度』の上昇につながるのです。取り組みを始めるのは、今からでも遅くありません。ぜひいち早くトライしていただければと思います」(島袋氏)