月額型で安定した運用を クラウド型開発のメリットを考える
スマートフォンアプリ開発の手法としては、大きくふたつに分けることができる。ひとつは、オーダーメイドでゼロから制作を行う「スクラッチ型」、もうひとつは「クラウド型(SaaS型)」で既存機能を選択して制作する方法だ。前者は作りたいものを確実に実現することが可能だが、制作に半年から1年ほどの時間を要する。また、機能更新時に都度費用と時間が生じるという懸念も存在している。一方、クラウド型は追加できる機能に一定の制限はあるものの、1ヵ月から3ヵ月という短期間で開発・リリースすることができ、費用も月額型のため予算組みを行いやすいという利点がある。
Yappliはクラウド型に該当し、約40種類の機能から選択する形で短期間の開発を実現している。また、月額費用にOSのアップデート費用を含むため、導入後の機能改定の負担を抑えることも可能だ。
「とくにOSのアップデートは開発側にとって対応の負担が大きく、スクラッチ型で外注している場合は大きな追加費用が発生します。クラウド型は予算計画を立てやすく、安定運用も実現できるため非常にメリットが大きいです」(島袋氏)
ここで、改めてYappliがモバイル戦略を成功に導くアプリプラットフォームであることを強調すべく、吉留氏は直近の具体的な機能追加例を紹介した。
吉留氏がまず紹介したのは、スマートフォンのネイティブページを用いて、商品一覧ページを高速に表示する「ECコネクト」という機能だ。ECサイトの商品データベースをAPI連携するだけで活用ができ、新たなシステム構築などは不要となっている。商品表示をスムーズにすることで顧客のストレスを低減し、離脱を防ぐ効果がある。ファニチャーや雑貨を扱うダルトンが導入しているほか、「アパレルなど多くの商品を扱う企業からの引き合いが多い」と吉留氏は補足した。
ふたつめに紹介したのは、バニッシュ・スタンダードが提供する「STAFF START」との連携機能である。同サービスの投稿をスマートフォンアプリ内へ自動反映させることで、WebViewを用いた表示よりも快適な閲覧環境を実現。実店舗スタッフのコーディネート経由で購入につながった場合は、該当スタッフの販売実績としてカウントされ、効果の可視化もできるようになっている。アパレルブランド「ROSE BUD」が導入しているほか、「コスメを扱う企業などとも相性が良い」と島袋氏は語った。
続いて紹介したのは、顧客が行ったカテゴリー選択に対応した通知やビジュアル表示を行う「パーソナライズ」機能だ。顧客に課す操作はワンタップとシンプルながらも、最適なコンテンツ表示を行える点が大きな魅力となっている。また、自社データベースと連携することで、お気に入り商品の再入荷や完売間近の商品通知、値下げのお知らせなど、リッチできめ細やかなパーソナライズが実現できる。
島袋氏は、最後に「当社はスマートフォンアプリ専業のスタートアップ企業であり、450社以上の開発・サポート実績を持っています。業種業界を問わず開発に携わり、リリース後もカスタマーサクセス部門のスタッフが運用まで含め、包括的にフォローしていますので、顧客とのコミュニケーションに課題をお持ちの方はぜひご相談ください」と伝え、セッションを締めくくった。