ビジネス、デザイン、テクノロジーの3方向から企業のDXを支援
アイスリーデザインは、ビジネス、デザイン、テクノロジーの3つの力を用いて、新規事業やイノベーションを創出するDX支援企業である。武本氏ははじめに、同社が実践するDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みについて、このように伝えた。
「当社は、DXを単なる『デジタル化』とはとらえていません。デジタル技術に加え、ビジネスへの広い知見や成功に向けたシビアな視点、デザイン思考の柔軟な発想と最新のテクノロジー。この3つを融合することで、サービスの構造を変革する。こうした意味でのDX支援を、さまざまなお客様に向けて行っております」(武本氏)
アイスリーデザインでは、プロジェクト初期、実装、グロースの各フェーズにおいて、幅広くDX支援のフレームワークを展開している。同セッションでは、主にグロースフェーズにおけるサイト改善ソリューションについて紹介すると語り、続いてユーザー体験をより良いものとするためにサイト改善を行う際の理想的なプロセスについて述べた。ポイントは次の3点だ。
サイト改善に着手する際、最初に行うべきはサイトの分析だ。分析結果を基に論理的な仮説を設定し、それに基づいた施策を実施することが求められる。改善方法やデザインのトレンドといった情報は、インターネット上で検索すれば得ることができるが、それが必ずしも自社のサイトの課題解決に適した施策とは限らない。また、短期的に施策を実施しても、抱えている課題そのものの改善は難しい。まずは自社サイトの特徴や課題を分析し、仮説を立てる必要がある。
仮説に基づき施策を実施した後は、定量的な計測と結果を踏まえた方向修正が欠かせない。どれだけ論理的にサイト分析を行ったとしても、それはあくまで仮説にすぎない。実態と仮説に乖離があった場合に万が一放置してしまうと、成果が期待する方向に進まないのみならず、本来かからないはずの余計なコストまで生じてしまう。これらのPDCAサイクルを高速で回していくことが、理想的なサイト改善のプロセスとなる。
「これらが理想的な進めかたであることは、疑いようのない事実です。しかし、実践に移すことができているサイトは、そこまで多くないという現状があります。我々が支援を行うお客様の中にも、さまざまな事情によりこのプロセスを実現できないという方が多くいらっしゃいました」(武本氏)
では、具体的にサイト改善のプロセスを妨げる課題として、どのようなものが存在するのだろうか。武本氏は次の3つを提示した。
ひとつめは、継続的な施策実施と計測をするためのリソース不足だ。自社内に対応できる人材がいない、開発ベンダーに依頼するコストが確保できない、といったケースが存在している。ふたつめに挙げられるのは、計測を実施することができても、有効な仮説を立てる知見がないという課題である。Google アナリティクスを活用すれば、無料でCVRや離脱率の計測は可能だが、数値が示す課題や結果の原因、改善方法などについて仮説を立てることができなければ、効果的な施策につなげることは難しい。
そして、3つめはさまざまな外的要因により自社内で素早くPDCAサイクルを回すことが困難であるといったケースである。とくにサイトの規模が大きいものや運用期間が長く、使用するシステムが古い場合にこうした課題にぶつかることが多い。そして、課題改善のハードルが自由な施策実施やPDCAサイクルの高速回転を阻むという悪循環に陥ってしまうといった具合だ。こうした課題に対し、ソリューションを提供するのが、アイスリーデザインが手掛けるサービスとなる。