Shopifyスマホアプリで運営は8割完結!Shopify認定教育パートナー三浦卓也さんに聞く
河野(フラクタ) 三浦さんは、Shopifyのマーチャント側の利用者でもあり、日本第1号のShopify認定教育パートナーでもあります。そもそも、ECのビジネスを始めようと思ったきっかけは何ですか?
三浦 ふたつあります。ひとつは、創業する際に「食と健康」をテーマにしたビジネスをやりたいと思っていたこと。健康食品を作って販売することから始め、今のバターコーヒーのお店「ミウラタクヤ商店」の形に至りました。もうひとつは、既存の健康食品業界に対する反発心を持っていたこと。もちろんすてべてではないですが、利益重視で健康食品ビジネスを営んでいる企業が多いのではないなと感じていました。利益重視の企業とお客様のコミュニケーションの取りかたが、僕から見るとあまり素敵じゃない。自分がビジネスをやる際には、その逆張りをすればうまくいくのではと考えました。
河野 ECのプラットフォームとして、早くからShopifyを用いられていますよね。2018年11月の大阪のイベントで、僕に対して「Shopifyどうですか?」と質問してくださったのを覚えています。
三浦 河野さんに質問した半年ほど前から、Shopifyのことは知っていました。それ以前は日本製のカートASPを使っていたのですが、「ECの運営工数を減らす」「デザインの精度を上げる」のふたつの課題がありました。解決すべく調べていたところ、「BASE FOOD」さんがShopifyを使っているらしいと知ったことをきっかけに、コマースメディアの井澤孝宏(@izawatakahiro)さんに出会い、手伝っていただいて今の「ミウラタクヤ商店」ができました。
河野 日本のカートASPは、日本人に使いやすいように作られていますよね。一方のShopifyは、海外製のプラットフォームです。抵抗はありませんでしたか?
三浦 まったくありませんでした。僕はマーケティングよりも、ウェブのソフトを使って実績を上げるほうに重きを置きたいという考えです。たとえば、管理画面を突き詰めるのがすごく好きで、スモールビジネス向けのECプラットフォームはだいたい使ったことがあります。その経験をもってShopifyに触ったときに、「これはやばい」と思いました。抵抗はありませんでしたし、14日間の無料体験の2日目に、「Shopifyに変えよう」と思ったくらいです。
河野 英語は得意ですか?
三浦 留学していたので。
河野 それは大きいですね。英語がわかるマーチャントの方からは「Shopifyを利用していることにすごくアドバンテージを感じる」という声を聞きます。
三浦 個人的な感想ですが、iPhoneと昔のAndroidくらいの違いはあると思います。日本のカートASPは、日本人に使いやすいようにカスタマイズされているからこその限界もあるのではないでしょうか。
河野 EC「ミウラタクヤ商店」の運営において、Shopifyと相性が良いなと感じるのはどういった点ですか?
三浦 運営において、「お客様との会話」に重きをおいているため、LINEを頻繁に使っています。よって、EC運営もスマートフォンでできるとありがたい。Shopifyのスマホアプリで8割くらいの仕事が完結するところが、とても良いですね。
河野 ECzineで「ひとりでも始められるEC運営術」という連載もされていますが、スマホで管理できるのは生活の中ですごくアドバンテージがありますよね。
三浦 組織で運営するのであれば、それが是か非かという議論は起きると思いますが、僕はひとりで運営していて、かつ、目の前にお客様がいるような距離感でECを運営していきたいと考えています。寝ている時間以外は、お客様からの問い合わせにすべて対応しているくらいです。それがお客様のためになったり、結果として信頼していただけるので、EC運営自体がスマホで完結することはありがたいです。
河野 三浦さんのLINEにも「店長がほぼ即レス」と書いてありますもんね。ブランドコミュニケーションとして、「信頼してもらう」ことをすごく大事にされている。僕が実際に商品を購入した際にも、一連の流れが、バランスをとって、すごくきれいに作られていると感じました。どこかで勉強されたのですか?
三浦 ありがとうございます。おこがましいのですが、「お客様目線」ではどこにも負けないと思っています。たとえば、僕は分析はほとんどしません。自分が作ったものを見返して、その結果のCPAくらいは見るのですが、たとえばサイト内分析はまったくやりません。一方で、「こう言ったほうが伝わるな」という表現のマイナーチューニングをとにかくやっています。それを5年間積み重ねてきた結果だと思います。
河野 三浦さんは、京都にお住まいですよね。もちろん大都会ですが、東京や大阪のような中心部でないところにお住まいで、お客様と「ほぼ即レス」という近い距離でコミュニケーションをし続けられるのは、デジタルの発展、ECならではの恩恵をすごく受けていらっしゃるなと感じます。そこまでできれば、他のいろいろなブランドさんももっと伸びていく可能性がある。
三浦 EC運営は、組織と個人、二極化していくと考えています。僕は組織で大きくしていくことをまったく考えていないため、いかに「ひとり運営」を最適化していくかを突き詰めてきました。おこがましいですが、その分野では抜きん出ることができたと自負しています。でも、僕以外ができないことかというとそんなことはない。「ひとり運営」のナレッジを共有していくために、Shopify教育パートナーをやらせていただいています。