2019年は64秒で1,000億円超の売上 「独身の日」速報数値が発表
「中国EC最大手アリババ「独身の日」最新データ&トレンド事例から学ぶ 越境EC必勝法と今からやるべき2020年W11売上アップ術」と銘打って開催された今回のセミナー。まずは、SBクラウドでAlibaba Cloud ソリューションアーキテクトを務める寺尾英作氏より、2019年の独身の日に関する最速レポートとテクノロジーに関する特徴が紹介された。
偶然、独身の日のセールが開催される前日まで深センにいたという寺尾氏。街中をセール広告が埋め尽くす様子をレポートしながら、今年の動向を解説した。
2019年、独身の日当日の取扱高は、2,684億元を記録。これは日本円に換算するとおよそ4.16兆円に上る。「昨年比で26%の成長を遂げることができました」と、寺尾氏は発表した。20万以上のブランドがセールに参加し、64秒で約1,000億円の売上を記録。セール開始から90分以内で2016年、午前中には2017年、夕方には2018年の売上を超え、過去最高の売上高となっている。
独身の日当日、売上10億元(155億円)を達成したブランドは15ブランド、1億元(15.5億円)を記録したブランドは299にも及ぶ。1日で10億元を記録した海外ブランドのなかには、ユニクロも名を連ねている。
外国店舗の売上第1位は去年に引き続き日本となっている。「美容、ヘルスケア、食品などのジャンルが人気を集めており、美顔器を販売するヤーマンや、花王、ユニ・チャームなどの売上が好調だった」と寺尾氏は解説した。
進む中国国外への販売 AI・人工知能はCSから物流まで幅広く活用
アリババグループは現在、「中国国外に向けた販売」と「AI・人工知能の活用」の強化を行っている。前者については、Alipay(支付宝)が220の国と地域に対応し、27の通貨をサポート。2019年9月に発表されたAlibabaのグループ会社が開発する「Hanguang 800(含光800)」によって機械学習タスクを向上させ、海外向けECプラットフォーム「AliExpress」では21ヵ国語以上の言語表示、100以上の国と地域での販売対応を実現している。独身の日の翻訳処理件数は、2,000億ワードに上ったと言う。
後者については、「カスタマーサポートの自動化と物流の効率化が今年はより進んだ」と語った寺尾氏。AIカスタマーサポート「アリシャオミ(阿里小蜜)」の利用率は97%に達し、当日のサポート件数は3億件にも及ぶ。
ここ数年、中国ではライブ配信が盛り上がっている。今年の独身の日は、出店ブランドの50%がライブ配信を行い、売上1億元(15.5億円)を記録した配信は10件以上、1,000万元(1.55億円)を売った配信は100件以上となったが、ここにもAIの技術を用いた「ライブシャオミ(直播小蜜)」というサービスが提供された。ライブ配信中によく聞かれる商品のスペックや購入先のURL、割引券やクーポンの有無についてはAIが自動回答し、配信者はライブ配信に集中する。この取り組みで、コンバージョン率が15%アップしたとのことだ。
物流分野では、「菜鳥網絡(cainiao)」のビッグデータ活用によりクロスボーダー倉庫効率を20%改善。「これにより、前年比24%増となる12.9億件ものスマートロジスティクスを実現した」と寺尾氏は言う。