Web接客ツールの自動最適化で
「平均で約30%のCVRアップが見込める」
ここで、Web接客ツールの仕組みをおさらいしておこう。ウェブサイトにタグを設定し、実際にユーザーの行動データをとる。特定の条件に応じてリアルタイムに判定を行い、その条件にあったユーザーにポップアップのような「何か」を配信できるというものだ。そして、その「何か」への反応を測定・分析し、それを次に活かしていく、という流れである。この「何か」は様々なものを入れることができるので、入れるか入れないか、または何を入れるかなど、A/Bテストを繰り返して最適化していく。
SprocketのWeb接客ツール独自の機能として、木下氏はリアルタイム判定時の自動スコアリング機能を挙げた。この機能では、サイトを閲覧しているユーザーの購入「しそう」、離脱「しそう」といったサイト内でこれから起こりうるユーザーの行動を予測し、それをスコア化することができる。また、A/Bテストの結果をAIが学習し、最適なシナリオを自動的に配信。顧客1人ひとりに合ったWeb接客を行うことができるようになっている。その結果、平均30%ほどのコンバージョンアップが見込めるという。
また、効果測定を分析する際にコンバージョンの影響度をランク付けし、施策を網羅的に検討することができる最新機能も紹介。このランク付けをもとにすれば、もっとも影響度の高い施策から取り組む、といったことも可能となる。さらにサイト内の行動データだけでなく、ユーザーとなる企業が所有しているデータや過去の購買データなど、外部のデータと連携させることで、オフラインも含めた最適な接客行動を導き出すこともできるのだ。
となれば、当初の目的通り、「実店舗と同様の概念でウェブ上で接客」をし、1人ひとりに合った接客を実現させていく上で、SprocketのWeb接客ツールは「かなり何でもできる」印象を受けるだろう。だが木下氏はこうも指摘する。
「ツールありきで部分的な最適化を行うだけでは、ただのキャンペーン誘導やクーポン配信ツールになってしまいます。時間はかかりますが、まずはユーザーに刺さる接客シナリオを考えていくことがなによりも大切です」