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登録率194%にアップも!Web接客をコンバージョンにつなげる秘訣と5つの成功シナリオ

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2019/07/01 11:00

 テクノロジーの進化に伴い、実店舗と同じようにオンラインにおいても、来訪者1人ひとりに合わせたきめ細やかな対応を行う「Web接客」への期待が高まっている。しかし、意図したページになかなか誘導できなかったり、そもそもすぐにサイトから離脱してしまったり、必ずしも期待通りとはいかないようだ。「ECzine Day 2019 Spring」では、株式会社Sprocketでデジタルマーケティング&セールスに関わってきた木下俊之氏が登壇し、その豊富な事例と経験から、Web接客をCVRへとつなげる秘訣と、成功事例として5つのシナリオを紹介した。

期待が高まる「Web接客」と活用の可能性

株式会社Sprocket セールス・リーダー 木下俊之氏
株式会社Sprocket セールス・リーダー 木下俊之氏

 「CVR30%増を叩き出す秘訣」をテーマに登壇した木下俊之氏は、2014年4月の創業当時からSprocketにジョインし、営業部門の立ち上げから携わる人物だ。Web接客プラットフォームを提供するSprocketは、2016年にWeb接客のためのツール開発や提供を開始してからおよそ2年の間に、5,000本を超えるWeb接客シナリオ改善事例を持ち、その知見やノウハウを蓄積させてきた。

 そもそも「Web接客」とは何か。Sprocketでは、「実店舗と同様の概念でウェブ上で接客をすること」であり、来訪された顧客1人ひとりに合わせた接客コミュニケーションを行うことで、回遊促進・CV促進を行うものである、と定義している。近年では、追客までをその範囲に含めることもある。

 そんなWeb接客であるが、その期待値は急速に上がっている。市場規模は3年前の7倍、2018年度には50億円規模となっており、アクセス解析・EFO、広告効果測定などのツールよりも大きい。「2017年頃から話題になり始め、まだ新しい領域であるWeb接客」がここまで広まってきた背景には何があるのだろうか。木下氏はこのように分析する。

「スマホはPCに比べて画面が小さく、一度に掲示できる情報がPCより少ないため、サイトの階層はどんどん深くなっていること。またSNSやアプリからの通知など、あらゆる情報がスマホに届き、情報過多になっていることなどの理由から、企業側が届けたい情報をユーザーが見つけにくくなっています。それもひとつの要因ではないでしょうか」

 それでは実際にどのようなWeb接客があるのか。木下氏は、ユーザーごとに最適と思われる情報を表示する「ポップアップ型」とユーザーの質問にすばやく対応する「チャット型」のふたつを紹介する。

「このふたつとも、技術が進化するにつれ、オペレーションの効率化や自動化などが求められるようになってきました」(木下氏)

 Web接客の用途として「コンバージョンアップ」はもちろんのこと、キャンペーンや特集ページへの「告知」効果の向上、顧客の「サポート」、そして欲しい情報にいち早くアクセスするための「UI支援」を木下氏は挙げた。お得な情報をサイト内から探したり、カウントダウン式にタイマーを表示する、同時に閲覧している人数を表示するなどの使いかたも増えてきたという。

 これについて「Web接客ツールは、ただポップを表示するだけではありません。アイディア次第で本当にどんなことでもできるんです」と、木下氏はテクノロジーによるWeb接客の可能性を強調した。

Web接客ツールの自動最適化で
「平均で約30%のCVRアップが見込める」

 ここで、Web接客ツールの仕組みをおさらいしておこう。ウェブサイトにタグを設定し、実際にユーザーの行動データをとる。特定の条件に応じてリアルタイムに判定を行い、その条件にあったユーザーにポップアップのような「何か」を配信できるというものだ。そして、その「何か」への反応を測定・分析し、それを次に活かしていく、という流れである。この「何か」は様々なものを入れることができるので、入れるか入れないか、または何を入れるかなど、A/Bテストを繰り返して最適化していく。

 SprocketのWeb接客ツール独自の機能として、木下氏はリアルタイム判定時の自動スコアリング機能を挙げた。この機能では、サイトを閲覧しているユーザーの購入「しそう」、離脱「しそう」といったサイト内でこれから起こりうるユーザーの行動を予測し、それをスコア化することができる。また、A/Bテストの結果をAIが学習し、最適なシナリオを自動的に配信。顧客1人ひとりに合ったWeb接客を行うことができるようになっている。その結果、平均30%ほどのコンバージョンアップが見込めるという。

 また、効果測定を分析する際にコンバージョンの影響度をランク付けし、施策を網羅的に検討することができる最新機能も紹介。このランク付けをもとにすれば、もっとも影響度の高い施策から取り組む、といったことも可能となる。さらにサイト内の行動データだけでなく、ユーザーとなる企業が所有しているデータや過去の購買データなど、外部のデータと連携させることで、オフラインも含めた最適な接客行動を導き出すこともできるのだ。

 となれば、当初の目的通り、「実店舗と同様の概念でウェブ上で接客」をし、1人ひとりに合った接客を実現させていく上で、SprocketのWeb接客ツールは「かなり何でもできる」印象を受けるだろう。だが木下氏はこうも指摘する。

「ツールありきで部分的な最適化を行うだけでは、ただのキャンペーン誘導やクーポン配信ツールになってしまいます。時間はかかりますが、まずはユーザーに刺さる接客シナリオを考えていくことがなによりも大切です」

顧客に“刺さる”シナリオ設計のための5つのポイント

 ここで、ECサイトにおける購入までのカスタマージャーニーを考えてみよう。トップページから購入に至るまでの動線において想定される離脱理由は、どこから商品をみたらいいか「よくわからない」、商品を「探せない」、どれを購入するか「迷う」、自分の想像した通りの商品であるか「不安」などが想定される。それらを解決するための施策を考えていくことが「シナリオ作成」だ。

 木下氏はその施策として、(1)ウェルカムバナー、(2)初心者向けガイド、(3)問診誘導、(4)機能訴求、(5)後押し・不安払拭を挙げ、それぞれの事例を紹介した。

(1)ウェルカムバナー

  • 目的:サイト来訪者をトップページから離脱させないため
  • 事例:シャボン玉石鹸

商品特性を知ってもらうため“無添加”という特異性に関する問いをポップアップで表示し、知らないと答えた人には情報を伝えるようにしたところ、CVRが130%にアップした。

(2)初心者向けガイド

  • 目的:トップページから進ませたいページへの誘導を図るため
  • 事例:ジョンブル

サイトトップでLINEの友だち追加登録でクーポンがもらえるポップアップを表示。登録率が194%に向上した。ただし、アプリのダウンロードを促進しようとした際には効果が上がらず、新規流入が多いキャンペーンのLPで再度行ったところ、効果が上がった。

(3)問診誘導

  • 目的:多くの情報の中から、迅速に必要な情報を選択させるため
  • 事例:中川政七商店
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 一覧ページにて、初回訪問ユーザーに対し、カテゴリ分けに関するポップアップを表示。次のページへの遷移率が上がり、CVRが126%に向上した。

 そのほか、他社のケースでは、作りこんだデザインバナーでキャンペーン誘導を行ってみたが、それよりもテンプレートバナーで問診型にしたほうが効果が高いことが判明。さらに表示のタイミングを調整したところ効果が上がった。

(4)機能訴求

  • 目的:選択した商品に関する情報提供で購買意欲をプッシュするため
  • 事例:ニッセン
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初回訪問ユーザーが商品詳細ページを閲覧する際、サイズ表記に関するポップアップを表示。サイズ表記の詳細情報への誘導を行い、安心して商品を選べるようにした結果、CVRが120%に向上した。また、商品にお気に入り登録のチェックを入れていない場合、お気に入りチェックボタンを訴求するバナーが立ち上がり、誘導する仕組みに。CVRが115%に向上した。

これらは該当ページ来訪者すべてに表示するのではなく、「ログインユーザーのみ」、「機能の未利用者のみ」のように、用途に合わせて表示するようにした。

(5)後押し・不安払拭

  • 目的:カートの段階での不安を払拭し、購買決定を促進するため
  • 事例:コスモライフ
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初回訪問ユーザーがカートページにたどり着いたタイミングで、紙芝居形式のFAQを表示。不安を解消することに成功し、CVRが130%にまでアップした。こうした最後の後押しは、表示のタイミングで大きくCVRが変わることに気づき、表示までの速度を変えてチューニングを行った。

 木下氏は最後に、それぞれサイト来訪時で157%、サイト回遊中で156%、決済前のカート付近で119%と、SprocketのWeb接客ツールを導入した場合の平均CVRを紹介。以下のように話し、セッションを終えた。

「Web接客でページのトップからカートまで、幅広く改善できるということがおわかりいただけたのではないでしょうか。これらの施策を参考に、ぜひ施策を検討していただきたいです。またSprocketはシナリオを重視しており、その設計や設定・改善を継続的にサポートすることで、CVR向上を実現してきました。なにかあれば、ぜひ相談していただければと思います」

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