「仲の良い友だち」のように
テクノロジーが自分を理解してくれる世界へ
企業のオムニチャネル化を支援するランチェスターのどういった点が、ユーザー企業から支持されていると思うか。そんな疑問をぶつけると、田代さんは「少し面倒くさい会社だからかもしれないですね」と苦笑する。
「僕らは、本質的なマーケティング支援をしたいと考えています。クライアントから、『毎日アプリを使ってもらうためにゲームコンテンツを入れたい』という要望があったとしたら、『御社のサービスにゲームは関係ないですよね』とお伝えすることもあります。企業やブランドのマーケティング支援をする、という自分たちのスタイルから外れたことをしても仕方ないですからね。ランチェスターには、EAPというモバイルアプリプラットフォームがあり、オムニチャネルやアプリマーケティングの領域で他社を圧倒する知見があると自負しています。だからこそ、単純に『アプリを持ちましょう』という提案ではなく、企業が持っている価値を最大限に伝える提案ができている点に、魅力を感じていただいているのではないかと思います」
EC市場はなおも右肩上がりの発展を続け、オムニチャネルという発想はますます無視できない時代に突入している。ではそんな中、これからテクノロジーはどのようにマーケティングを支援することができるのだろうか。田代さんは「テクノロジーには、まだまだ改良の余地が多い」と断言する。
「店舗ですでに買った商品の広告が表示されたり、仕事で調べただけの商品がレコメンドされ続けるなど、ユーザーに対して、完全にパーソナライズされた体験を提供できているとはまだまだ言えません。テクノロジーが、仲のいい友達や、ビジネスパートナーのように自分を理解してくれて、適切にアドバイスをしてくれる存在として感じられるように育てていきたいですね。また、POSや基幹システムなどには、企業の中でまだまだ活用しきれていない情報が眠っているように思います。たとえばそんな企業内の情報に対して、リアルタイムでアクセス可能なシステムを構築することができれば、判断の質は向上するでしょう。それによって、ユーザーは本当に欲しい情報を受け取ることができ、コミュニケーションの最適化や精度の高いマッチングも実現できるはずです」
「仲のいい友達」のようにスマホアプリが自分を理解し、そのうえで何かを提案してくれる。そんなUXを実現していくため、ランチェスターの挑戦は続いていく。