多言語・多通貨が特徴のMagento を
国内のみでEC を展開する企業が導入する理由
2008年のリリース当初から今まで、長きにわたってMagentoを表してきたのはやはり、「多言語・多通貨」という言葉であった。「昔ほど優位性があるとは思わないのですが」と西さんが前置きしたうえで挙げたもうひとつの特徴は「マルチサイト」。2008年からすでに 、ひとつのインストールで複数のサイトを運営することが可能であった。さらに先日発表されたメジャーバージョンアップにより、ここに新たな軸が加わることになりそうだ。新しくリリースされたMagento2.3系では、複数の場所で在庫管理を行うことが可能になる。
「これにより、たとえば日本と東南アジア、北米と欧州など、別々の場所の在庫を、別々に管理することが可能になったり、もっとも近いところから在庫を発送するなど、今までより凝った在庫管理を行うことができます。『多言語・多通貨・マルチサイト』に加えて、今後は複数在庫の管理もMagentoの特徴になっていくはずです」
リリース当初より多言語・多通貨に対応しているからか、「Magento=越境EC」というイメージを持っているEC 事業者も多いだろう。だが、実際に利用しているのは、必ずしも海外展開を行っていたり、それを視野に入れている企業ばかりではないという。
「もちろん越境ECを行っている企業さんもいますが、国内向けにのみ展開しているケースもとても多いです。また旅行代理店のように、国内で事業を行っているけれど、インバウンド向けに英語表記のみでサイトを構成しているという事業者さんもいらっしゃいます。特に、越境ECをやりたい企業さんばかりというわけではないんですよ」
とはいえ、国内向けに展開している会社では、Magentoの魅力のひとつである「多言語・多通貨」があまり利点とならないこともあるだろう。そういった事業者は、Magentoのどんな点にメリットを感じているのだろうか。西さんはそれを以下のように分析している。
「ひとつは、商品点数のキャパシティではないでしょうか。Magentoは、万単位の商品データを扱うときも、特に難しいチューニングなくさばくことが可能です。そのためMagentoを活用しているお客様の中には、商品点数が7万点くらいある釣具屋さんや、月間のトラフィックが130テラにのぼるという方もいらっしゃいます。先日弊社の担当に聞いたところ、そのお客様のサイトでは、瞬間のユニークユーザー数が5,300を超えていたそうです。それくらいのトラフィックをさばけるという点に魅力を感じていただいているケースは多いと思います」