プラットフォーム選びの第一歩は、何を・誰に・どのように売るのかを考えること
――河野さん自身、2006年からECサイト構築サービスを展開してきました。12年を経て、この業界はどのように変わってきていると感じますか?
かつて、「ECを作れるプラットフォーム」であることそのものに魅力があり、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングといったモールを使うのではなく、自社のECサイトを作ること自体が目的となっていた時代がありました。しかし、ECがコモディティ化している現在、ただECサイトを作るだけでなく、どのようにECサイトを効率的に運用していくか、どのようにしてEC 事業を成功させるかに視点が移っているように感じます。特に、ECだけでなくリアルまで含め、ビジネス全体のデジタルコミュニケーション・ハブになるECサイトの構築を目指すという意識が強くなっていますね。
――ASPカート、オープンソース、パッケージ型など、ECプラットフォームの種類や特徴は多岐にわたります。それらを選ぶときには、どのような基準が大切なのでしょうか。
プラットフォームを選ぶためにはまず、自分たちの商材や自分たちのお客様をしっかりと把握し、定義する必要があります。今はこういったプラットフォームが注目を集めているからといった話題性に気を取られていると、適切なものを選択することはできません。「何を」「誰に」「どのように」売るのかを考えることが、本当にマッチするプラットフォームを見つけるための何よりのポイントです。
たとえば、定期購入で売るような商材がメインになる場合は定期購入に強いプラットフォームを選ぶべきですし、限定品やタレントグッズなどは、発売と同時に売り切れることもあるため、多くのトランザクションをさばくことができたり、アクセスの集中に耐えられるものを選択するとよいでしょう。一方、一つひとつの商品を深く紹介したいケースでは、テキストや写真などのコンテンツを充実させることができるものを。部品やSKU 数が多い場合には、大量の商品が並んでいるなかで目的の商品を速やかに検索できるものを選ぶのがおすすめです。商材によってその売りかたや売れかたも異なってくるため、適切なプラットフォームももちろん変わってきます。
また、プラットフォームを提供するベンダーが、しっかりと資本を投入し適切に発展し続けているかという点。EC 事業者の方にとって間違いなくECサイトは心臓部ですので、ベンダーそのものが事業を持続させる体力や本気度を持っているのかについても考えるべきでしょう。