外国人対策として、旅館ではめずらしく
6言語の多言語サイトを制作
――古屋旅館様、熱海温泉のインバウンドの現状を教えていただけますか?
内田 当館は、気づけば毎日のように外国人客が訪れるようになりました。外国人のお客様は、平日に宿泊される方が多いので非常に収益性が高く、助かっています。国別でいうと、香港を含めた中国の方が多いです。その他だと韓国、アメリカ、カナダが上位でしょうか。
熱海の旅館の中では、FIT(外国人個人旅行者)向け集客ではがんばっているほうだと思いますよ。当館の多言語サイトに関しても英語、簡体字、繁体字、韓国語、タイ語、フランス語と6言語制作し、対応しております。日本全国を見ても、ここまで多言語サイトを持っている旅館も少ないのではないいでしょうか。
これだけ多言語サイトを作った理由としては、売上向上はもちろんですが、外国人の方が公式サイトに訪れた時に、これだけの多言語サイトを見たら、「外国人がたくさん訪れる旅館なんだな」と安心感を持っていただけると思いますので。
熱海エリアのインバウンドの現状としては、まだまだもっとがんばる必要があると思います。正直、日本人客で潤っている宿泊施設さんが多いので、そこまで積極的になれないのは仕方ないことなんですが。2年前に熱海観光協会の外国語サイト(英語・繁体字)も外国人目線に立った作りにしました。
今後は外国語サイトのプロモーションに力を入れていけたら、外国人客ももっと増えるのではないでしょうか。実際、東京から新幹線で約50分で行ける温泉地ですし、ロケーション的には最高だと思うので。
――古屋旅館様はいつ頃から外国人受け入れを始めたんですか?
内田 2008年頃だったと思います。その当時とくに対策はしていなかったのですが、外国人のお客様がぱらぱら泊まりに来るようになって。トリップアドバイザーの評価もすごくよかったんです。なぜか外国人のお客様はいつも満点を付けてくれて。それで「外国人集客」を積極的に始めてみようということになりました。
ただ2008年は、今と違って日本に訪れる外国人が1,000万人に満たなかった頃で、しかもOTA(ネット専業旅行代理店)も、JTBが運営していた「ジャパニカン」くらいしか販売ルートがありませんでした。だからなかなか、そこまでの結果が出ませんでしたね。で、2011年くらいだったか震災の後でしたけど、未来への投資と思い、多言語サイトを専門の業者さんにお願いして作り始めました。今思えば、目先の利益ではなく先行投資としては成功だったんじゃないでしょうか。