ECサイトでもリアルな接客を、実店舗は新たな役割へ
店頭での接客を、これだけ濃く、深く行ってきたスノーピークでは、今回リニューアルしたECサイトの役割をどのように考えているのだろうか。
「ECサイトについては、リアル店舗化、接客できる店舗にしたいという考えを持っています。現時点では、せっかく訪れてもらっても、お客様がご自分のペースで閲覧して、ご自分のタイミングで離脱してしまいがちです。結果、ほかのサイトと価格を比較されるといったことが起きてくる。スノーピークの製品は、高機能で耐久性が高く、アフターサービスが充実しているということを、オンライン上でも手厚く伝えたいんです。それも、押し売りとは違う形でですね。スノーピークのことをよく知ってくださっている、ファンの方だけが、ECサイトを使ってくださればいいとは考えていませんから。ECサイト上でも顧客接点を大切にするような、伝えられる仕組みをもっと盛り込んでいきたいし、SAP Hybrisにもそこを期待しています」
わかりやすい例としては、チャットツールの導入を検討していると言う。一方で、オムニチャネル施策の代表とも言える、店頭のスタッフが接客しながらECサイトを活用するといったことはすでに実施済みで、売上や評価制度の仕組みも整っている。
スノーピークは店頭販売から始まった企業ながら、実店舗の役割についての考えかたも柔軟だ。
「時代の流れとして、実店舗の売上が低下傾向にあります。ならば、店頭在庫は持たず、純粋に商品を体験してもらうスペースとして活用する、という発想も出てきます。『店舗を創造し直す』というタイミングも、そう遠くない未来に訪れる。その際に、バックからフロントまでシステムは一気通貫である必要があるし、そういう意味でSAP Hybrisは、間違いなく貢献していただけると考えています」
「人間性の回復」をミッションに掲げ、ECサイトも、実店舗も、そのミッションを実行していく上でどのような役割を果たすのか、そのためにシステムはどうあるべきかを考えているというスノーピーク。
高品質な製品と手厚いサービス、長年にわたって地道に築いてきた顧客との関係と、蓄積してきたデータ。SAP Hybrisをはじめとする一連のソリューションで、同社の目指す顧客エンゲージメントのさらなる加速が期待できそうだ。自社の取り組みをオムニチャネルと呼ばない同社が、グローバルな場で、いち早くオムニチャネルの成功企業となる未来も、そう遠くないかもしれない。