セクショナリズムは業務の敵。互いをリスペクトし合える環境の構築
倭田:では逆に、おふたりが思う「こんなチームで働きたくない」というのは?
奥谷:好きなことしかしないとか、自分の仕事はここまでだとか言われると困りますよね。それを言っちゃおしまいだと。デジタルの世界は、多くの要素が複雑に絡み合っています。だからこそ、それぞれの職種がお互いにリスペクトし合える環境が重要です。一方でマネジメント側は、売上を凶器にしない。たしかに売上は大事ですが、それを錦の御旗にしてはいけません。ものを作るエンジニアも、売ってくる営業も、宣伝するマーケティングも、誰も欠けてはいけないという視点で見ないと。
河野:当社のアンケートによると、奥谷さんがおっしゃったように「ここから先はあなたの仕事」というのがみなさんもっとも嫌がられます。ただそれ以前に、デジタルに対する優先度が低いとモチベーションが落ちますね。いきなり「店頭が大事」と言ってしまう企業さん、本当に多いんです。お客様からすれば、デジタルもリアルも関係ない。同じサービスを受けたいと思っているだけなのに。
リアルもデジタルも平等に。オムニチャネルの前に組織づくり
倭田:おふたりとも、本日はありがとうございました。最後に、社内でデジタルチームを育てていきたい企業様にひとことお願いします。
奥谷:繰り返しになりますが、やはり評価ですよね。リアルもデジタルも平等に評価して欲しい。現時点でECの売上が低いとか、そういった基準で決めて欲しくない。それでスタッフの不満が溜まって、最終的には離職みたいなことにつながっていく。オンラインとオフラインは別ではなく、同じものなんだと頭を切り替える頃ではないでしょうか。
河野:すごく簡単に言っちゃうと「仲良くしろ」ってことなんです。冗談ではなく本当に大きな問題で、店頭で売るためにデジタルの技術を使えないかとか、ECのチームはもっと店頭で誘導してくれとか、互いが前向きにディスカッションして、要求するべきなんです。オムニチャネル云々の前に、組織づくりという点でもっとできることがあるんじゃないかと思います。いかにしてEC比率を上げるかではなく、いかにすれば組織がうまく回るかを考えていくことが、ECを成功させる上で重要だと思います。