PayPal、日本国内でも好調な3つの理由
中小スタートアップの増加
昨今増加するスタートアップ企業は、グローバル展開を視野に入れ、決済手段に当初からPayPalを採用することも多い。2016年に限っても、スキルシェアサービス「ANYTIMES」、プロに縫製を依頼できる「nutte(ヌッテ)」、キャッシュバックアプリ「CASHb」、イベント管理・チケット販売「Peatix (ピーティックス)」などがPayPalを採用した。
そもそもPayPalは、中小事業者支援をミッションのひとつに事業を展開している。情報に敏感で、自ら探してPayPalにたどり着ける事業者以外にもその有用性を伝えるべく、啓蒙活動にも取り組んでいる。2016年5月には、ジャパンEコマースコンサルタント協会「JECCICA(ジェシカ)」と『中小EC企業向け2016年EC戦略白書』を発表。2万人の消費者と1,000社超の中小EC事業者を対象にした調査で、スマホでのEC利用が進む昨今、カゴ落ち対策のひとつとしてモバイルID決済の有効性を導き、白書としてまとめた。
中小規模のEC事業者が採用しやすいよう、支援事業者ともパートナーシップを契約。ASPカート「カラーミーショップ」、構築パッケージ「ec-being」、物流代行「オープンロジ」などがある。
「中小事業者を対象とした啓蒙活動やパートナーシップ締結は、今後も積極的に取り組んでいきます」
モバイルシフト
増加の一途をたどるモバイルでのEC利用に対応すべく、2016年、PayPalではUXの改善に注力した。消費者・販売者どちらにとっても、サインインから決済完了までの時間が短縮されるよう、ボタン配置などを変更、ユーザーのデバイスにあわせて自動的に最適化されるようにした。
「こうした改善が、コンバージョンレートの向上にもつながっています」
インバウンド観光客の増加
海外ユーザーにとって、PayPalは決済のスタンダード。観光客の受け入れは、予約サイトの決済を整えるところから始まっている。PayPalは、ブッキングエンジンのパートナーを昨年の2社から8社に拡大した。また、2016年6月に日本旅館協会と提携。以降、100社以上の申し込みがあったと言う。
「自社サイトで予約ができる施設様の、PayPal採用が加速。日本を代表するような老舗旅館様にもご利用いただいています」
今後は「チャネルの増加」と「利用率の向上」
今後の成長戦略として、「オンラインからオムニチャネル、オフラインとチャネルを広げていくこと。そして、ひとつのアカウントにおいて利用率を上げていくことの2軸で考えています」と曽根さん。
たとえば「ワンタッチ」機能がある。一度PayPalにサインインし、「ログイン状態を保持する」を選択のうえサイトAで決済すると、同一デバイスであれば、サイトBで決済する場合も、改めてサインインせずに行えるようになるというものだ。
ほかにも、アメリカで発表があったように、Facebook Messenger上でショッピングが行えるようになった裏側では、決済システムとしてPayPalが稼働している。「グローバルではすでに展開済みでも、日本ではまだというサービスもあります。適切なタイミングを見て、順次、日本でも展開していきます」
記者会見の後、編集部では曽根さんの単独インタビューを行った。次ページから、さらに掘り下げた内容をお届けしよう。