爆買いブーム沈静化は、アウトバウンドには影響なし
――中国人訪日観光客による爆買いブームが落ち着いてきたと言われていますが、実感はありますか?
当社はインバウンドではないので実感していませんが、取引先の企業からは、そういった話をよく聞きますね。一方、当社が行っている越境EC、アウトバウンドでは影響を感じることはなく、購買意識は伸び続けていると感じています。
ただし、外的要因による影響はあります。例えば、2016年5、6月の為替変動や、同年6、7月に政治問題で中国国内での反日感情が高まった際は、業績が伸び悩みました。その後また伸び始めているので、ニーズ自体が減少しているとは、あまり感じません。
――爆買いブーム前後で、ユーザーが求める商品群や、ユーザーの属性に変化はありましたか?
当社は現在、取り扱いカテゴリを増やし商品の充実化を図っています。取り扱い商品が日々変化しているので、売れ筋商品に対する変化や売り上げバランスの変化が、外的要因なのか当社の商品拡充の影響なのか、分析しづらい状況にあります。
ただし、ユーザー層は変わっていません。日本の商品を越境ECで買うユーザー層ははっきりしていて、25から35歳くらいがボリュームゾーンで、75%以上が女性です。当社が運営する「豌豆公主(以下、ワンドウ)」は女性の比率がより高く、全体の約85%にもなります。
また当社のユーザー層の特徴としては、北京、上海などの一線都市(※中国では一般的に都市の規模により、一線都市、二線都市と分類される)のユーザーの比率が40%ほどと、非常に高い点が挙げられます。二線都市も40%ほどで、これはワンドウのユーザーがアッパー層であることを示しています。ボリュームゾーンを対象としている他社の場合は、一線都市の比率は10%強で、二線・三線都市の比率が高いそうです。
中国でのマーケティングで重要なのは「口コミ」
――ワンドウはどのようなマーケティングを行い、中国国内でシェアを獲得していったのですか?
いろいろと試行錯誤しましたが、まずお伝えしたいのは、中国でのマーケティングは日本とは全く違うということです。たとえば、SEOやSEMが日本ほど重要ではなく、アフィリエイトに至ってはあまり活用されていません。このように、日本で言うオーソドックスなマーケティング手法が、中国では通用しないんです。
では、どのような手法でマーケティングを行うかというと、かなりの部分が口コミによって成り立っています。具体的には、WeChat、微博(ウェイボー)、生放送アプリの3つに集中しています。生放送アプリには多くの種類がありますが、それぞれが特徴を持っており、全体でひとつのカテゴリとなっています。その中で、KOL(インフルエンサー)を活用して生放送を行うという手法が確立されています。
――中国でマーケティングを行うには、口コミが最重要なんですね。
そうですね。ただ当社の場合は、ワンドウのアプリをダウンロードしていただき、最終的に商品購入というコンバージョンを増やしたいので、ブランディングよりは集客を重視しています。メーカーサイドのマーケティングとなると、事情は変わってくるかもしれません。