KOLと芸能人の違いとは?使い分けが重要
――メーカーサイドがマーケティングを行う際に、口コミ以外にどのような手法があるのでしょうか。
わかりやすいのは有名人、芸能人とコラボすることです。中国では日本以上に、有名人や芸能人の影響力が強いんです。費用はかかるでしょうが、膨大な商品の中から自分に最適なものを選びきれないユーザーには、効果があるでしょう。
――ここで言う有名人とは、テレビに出ているような方のことでしょうか。KOLとは明確な効果の差がありますか?
差はありますね。特にブランディングが目的の場合は、KOLよりも有名人や芸能人のほうが、圧倒的に力があります。ただし、集客が目的であれば、KOLの効果も高いです。問題は、一言でKOLと言っても、ピンからキリまでいるということ。KOLによって効果が全く違ってくるので、総額では安かったとしても、コストパフォーマンスという点では、一概にKOLのほうが良いとは言い切れません。
どのKOLが適切か判断するためには、そのKOLの属性は何なのか、どうやって有名になり、どのようなファンがいるのかを確認しなければなりません。このあたりの情報が、芸能人ほどはっきりしていないので、選別が難しんです。
WeChatはLINE+Facebook?
――KOL以外に、有効だったマーケティング手法はありましたか?
WeChatの公式アカウントです。日本で言うと、LINEの中にブログがあり、Facebookのようにシェアできるイメージです。記事の購読ができ、ユーザーが気に入れば、すぐにシェアできるんです。好きなものを探す、読む、フォローする、シェアする、他の人が見つける、という仕組みができているんですね。
そこで、WeChat内の人気公式アカウントに出稿するんです。こちらの手法の問題は、人気公式アカウントの多くが個人運営で明確な代理店システムもないので、条件面を直接交渉する必要がある点です。
また、交渉がまとまればすぐに出稿できるというわけではなく、コンテンツの内容を企画するところから始めなければなりません。対象アカウントの特徴を把握し、もともとのコンテンツとテイストを合わせ、購読者が違和感なく読んでシェアしてくれるコンテンツを作らなければなりません。そのためにはどのような動画を撮影するのか、どのような記事を書くのか、きちんと考える必要があります。
こうやってお話をすると、大変なことばかりのように感じられるかもしれませんが、この手法は、上手くいけば数百から数千万ユーザーの目に触れる可能性があるので、一つの大きな手法となるんです。
現在、中国でこういったマーケティング活動を行う際に使われるのは、WeChatか微博です。ただ、微博はTwitterのようなものなので、投稿してもタイムラインを流れて行ってしまいます。それでもビューとしてカウントされるので、ビューの割にコンバージョンしないことがよくあります。その点WeChatの公式アカウントは記事形式になっているため、ユーザーがきちんと読んでくれます。そういう意味では、WeChatと微博は、全く異なる媒体だといえます。
また、WeChatには「モーメンツ」というタイムラインのような機能があるので、それが大きい。拡散効果がすごくあるんです。タイムライン上にはタイトルしか表示されませんので、それを読んでクリックされるかどうかが決まります。ほとんどCMのキャッチコピーを考えるようなイメージですね。