外国人観光客が日本で“爆買い”していくモノとは
村山らむね ここからは、外国人観光客の方にどういったものが売れているかお伺いしていきたいと思います。ずばり、人気商品とは?
吉田(多慶屋) 国によって異なりますが、単品で3,000円~4,000円くらいの美白化粧品はどの国の方にも人気です。化粧品は、以前は「レディス館」の2、3階だけで取り扱っていたのですが、今年から、家電を販売する「A館」の7階でも取り扱いを始めました。旅行客の方は時間が限られているので、いくつもの建物を回って吟味する余裕がないんです。
村山らむね なるほど、化粧品と家電が一緒に購入できるようになったわけですね。家電はどういった商品が人気ですか?
吉田(多慶屋) いまだに炊飯器が人気で、ステンレスボトルも欠品が続きます。よく言われるように、セラミック包丁もよく売れていて、鉄板商品がよく動きますね。家電は、とくに中国の方がよく買われるので、必然的に客単価が高めになります。
村山らむね 化粧品と家電のほか、日本の薬も人気だと聞きます。
吉田(多慶屋) 火傷の薬や冷却シート、虫さされの痒み止めが人気ですね。動きが目立つ商品はそんな具合で、求められる商品は、お客様によって異なるというのが実態です。というのも、天気の悪い日に観光を切り替えてお買い物にいらっしゃるお客様、どこか名所に寄った帰りに短時間で大量に買っていかれるお客様、スマホの画面を示して「これをください」とおっしゃるお客様など、ひとくちに外国人旅行客と言っても、さまざまな方がいらっしゃいますから。
国内ECと越境EC 多慶屋はなぜプラットフォームを分けたのか
村山らむね 実店舗のスペースに限りがある、国やお客様によってニーズが異なる、そもそも旅行で時間がないなど、越境ECの必要性が高まっていることがわかります。まずは比較するために教えていただきたいのですが、多慶屋さんの国内ECの年間売上高はどれくらいですか?
西行(多慶屋) 楽天市場をメインにYahoo!ショッピングと自社サイトを運営していて、年間売上は申し上げられませんが、数値目標としては昨年対比約2倍の180%で予算組みをしています。楽天市場は楽天さんが創業された翌年の98年から出店しているので、もう16年のお付き合いになります。国内でも、売上の構成比でいちばん多いジャンルは家電ですね。
村山らむね チラシに掲載されている「Buyee」のショップは、tensoさんとYahoo!ショッピングさんが協力して運営されていますよね。越境ECのために、このサービスを選ばれた理由を教えていただけますか?
西行(多慶屋) はい。そもそもの目的が、「外国人旅行客のお客様に、買い物をした後、手ぶらで帰っていただきたい」というものでした。何か方法はないかと探していたところ、1年半ほど前に、tensoの浜田さんをご紹介いただいたんです。
当時はBuyeeのように、ショッピングモールに商品登録をしておけば、必要な情報が自動で翻訳されるといった便利な環境が整っていなかったので、「ああやればできる」「こういうこともできる」と施策を考え、何度もミーティングを重ねさせていただきました。
浜田(tenso) ミーティングを重ねるたびに、手ぶらで帰っていただくだけではなく、「売り」につなげられないかと考えるようになりました。そうするうちにBuyeeのオペレーションも固まり、売上も立ってきたので、多慶屋さんの専用ページを作り、そこへ誘導するチラシを作ってはというご提案を差し上げました。