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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

村山らむねが聞く「越境EC、成功する二人三脚」

年間43万人の外国人旅行客が殺到!「チラシ」でリピートを促進する多慶屋×tensoの越境EC施策


まだ成功法則が見えない「越境EC」は、EC事業者とそれを支援する事業者の二人三脚が必要です。先進企業の事例に村山らむねさんが迫ります。今回は、訪日外国人旅行者がお買い物に訪れる多慶屋さんが、越境ECでのリピートを促進するべくtenso(旧・転送コム)と取り組む事例についてお届けします。

外国人旅行者をチラシで越境ECに誘導 多慶屋の取り組み

村山らむね  多慶屋さん(※1)のお取り組みについて私が知ったきっかけは、中小機構さんが開催された越境ECに関するイベントでした。ブースでtensoの浜田さんが配っていらしたこのチラシをいただいたんです。

※1:多慶屋
御徒町にあるディスカウントショップ。A・B棟に分かれる巨大な本館ほか、インテリア・雑貨館、レディス館などで、食品から家電、宝飾品まで約20万アイテムを取り揃える。英語、中国語、韓国語、タイ語のフロアマップを用意。実際に訪れてみれば、外国人旅行客からの人気ぶりがわかるはず。1947年創業、従業員数420名(社員)。

 チラシにはQRコードが印字されていて、外国人旅行者の方が帰国後に、もう一度日本のモノを買いたくなったら、ここからサイトにアクセスしてもらうというものですよね。まさしくこれこそ、私が理想としている越境ECなんです。

 日本政府観光局の発表(PDF)によれば、2015年4月の訪日外国人旅行者数は176万4千人で初の単月170万人突破、前年同月比は43.3%増という成長ぶりです。

 その方たちに、旅行中は現地でお買い物をしていただいて、帰国後、買いそびれたモノやもう一度買いたいモノができたらECを利用していただく。そしてECで何度もリピートするうちに、また日本に来たくなって、現地でお買い物をしていただいて、帰国後はECで……。この無限連鎖を作っていくことが、これからの日本にとって非常に重要なのではないかと考えていましたら、このチラシに出会ったというわけです。

 以前、日経MJの記事(「オムニでつかむ訪日客 「買いこぼし」ECが受け皿」)でも取り上げたのですが、今回は「EC」の視点でさらに詳しくお伺いしていきたいと思います。御徒町の実店舗に対して、とくに中国からの旅行者の方が、尖閣諸島問題が起きる以前から増えていたそうですね?

西行(多慶屋) 実を言うと、外国人のお客様には、20年ほど前から多数お越しいただいています。館内放送は英語、中国語、韓国語で流れていましたし、20年ほど前は新卒採用のうち、10~15%は中国、韓国、マレーシアなどの外国籍の方でした。入社当時から、異国情緒ある会社だなと感じていましたね。

株式会社多慶屋 ネット通販部 副部長 西行麦さん

村山らむね  20年も前から、グローバル化に着手していらっしゃったわけですね。しかし、国内の体制を整えるだけでは海外のお客様はいらっしゃらないと思います。たとえば、海外の雑誌に広告を入れるといったプロモーションも、古くから実施されていたのですか?

西行(多慶屋) 何度か試したことはあるようですが、それほど積極的には取り組んでいるわけではないようです。自然発生的に、海外で発行されている観光雑誌に名前を載せていただいたり、クチコミで広がっているとは聞いています。

村山らむね  それはすごいですね。訪日観光客誘致や越境ECブームの前から、すでに多慶屋さんは観光スポットだったと。そうした長い歴史をお持ちの御社から見て、中国の方へのビザの緩和とタックスフリー(※2)、どちらがインパクトが大きいという印象をお持ちですか?

西行(多慶屋) ビザの緩和のほうですかね。

村山らむね  では、2014年までとはかなり違った層のお客様がいらしている?

西行(多慶屋) はい、そうですね。免税については、話題になる3~4年前から取り組んでいたのですが、2014年10月に消耗品も免税対象となった時点から、購買データのボリュームが膨らみ、売上のうち外国人のお客様が占める割合なども分析できるようになってきました。

※2:ビザの緩和とタックスフリー

村山らむね  先日、プレスリリースで「訪日外国人が年間約43万人来店」と発表されていました。すごい数ですよね。これは、どのようにカウントされているんでしょうか。

西行(多慶屋) 消耗品免税スタート後の月間免税件数をもとに、買い物に至らない訪問客などを想定して3倍を来店客数と計算、年間の数字を導き出しました。レジを通過したお客様の数と実際のお客様の数は異なるため、正確にカウントするのは難しいところです。なにせ全部で120台ほどもレジがありますし、お客様もあちこち回遊されますから。

村山らむね  日本人を含めた全体のお客様の数は、750万人くらいだったでしょうか。そのうちの43万人ということは、約6%ほどを外国人のお客様が占めているわけですね。今後、10%くらいまで伸びるという手応えを感じていらっしゃいますか?

西行(多慶屋) 増やしていくつもりですし、実際に月ごとに増えているのが現状です。しかし、店舗の面積は簡単には広げられませんし、何より、免税のオペレーションに時間がかかっているので、そこが簡略化されないと大きな伸びは難しいかなと感じています。

村山らむね  オペレーションのところは、本当に国にどうにかしていただかないと、非常にもったいない機会損失ですよね。

次のページ
外国人観光客が日本で“爆買い”していくモノとは

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この記事の著者

ワダ スミエ(ワダ スミエ)

2013年11月11日〜2023年3月31日までECzine編集部在籍。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/1882 2015/10/28 16:11

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