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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

村山らむねが聞く「越境EC、成功する二人三脚」

年間43万人の外国人旅行客が殺到!「チラシ」でリピートを促進する多慶屋×tensoの越境EC施策


越境EC、大きなハードル「決済」が解決できれば商圏が広がる

村山らむね  Buyeeについて、読者の方にもわかりやすいご説明をお願いします。

浜田(tenso) まず当社tensoは、商品転送サービス「転送コム」と、代理購入サービス「Buyee」の2つのサービスを提供しています。今回、多慶屋さんとお取り組みを始めさせていただいたのは後者に当たります。

 商品転送サービス「転送コム」は、外国のお客様に当社が発行する住所をお渡しして、その住所を使って日本のECサイトで購入していただくというサービスです。購入された商品は、当社の倉庫でお客様の代わりに受け取り、それを海外発送します。特徴としては、国内のEC事業者さんが、一切オペレーションを変えることなく、越境ECが始められるという点です。

 代理購入サービス「Buyee」は、料金の回収も当社が行う点が異なります。転送コムでは、日本のECサイトに対応した決済方法しか使えませんが、こちらではPayPalや独自のクレジットカードにも対応しているため、より多くのお客様にご利用いただける可能性が広がります。

tenso株式会社 執行役員 浜田祐介さん

村山らむね  決済の可能性が広がるということは、商圏が広がるということ。素晴らしいですね。

浜田(tenso) ECのご担当者様からすれば、「越境ECは可能性がありそうだからやってみよう」と思っても、はじめから必要なツールをすべて自前で揃えられるわけではないと思います。なかでも、大きなハードルとなるのが「決済」ですから、そこを当社がカバーします。ほかにも、「翻訳」「物流」「カスタマーサポート」「プロモーション」で躓かれる事業者さんが多いようですね。

西行(多慶屋) EC担当者から見れば、そうしたハードルをtensoさんがカバーしてくださることで販売に集中できるので、ありがたいです。

浜田(tenso) それは支援事業者として、非常にうれしいお言葉ですね。

目指すは、越境ECとオムニチャネルのハイブリッド

村山らむね  ディスカッションに1年半かけられたということですが、Buyee内に「多慶屋オンラインショップ」を作り、チラシを配って誘導するという今回の施策に、実際に取り組まれたのはいつ頃ですか?

浜田(tenso) 2015年2月末に発表したのですが、サイトの準備を始めたのは1月後半ではないでしょうか。もともとBuyeeの仕組みは、事業者さんのYahoo!ショッピングかヤフオク!に出店している情報を取り込んで、必要な部分を自動で翻訳するというものなので、サイト自体を作るのにそれほど時間はかからない。どちらかに出店してくださっていれば、極端に言えば、明日からでもできます(笑)。

吉田(多慶屋) Yahoo!ショッピングには、2014年7月から出店していました。ただし、本格的に商品登録を始めたのは11月くらいからです。Windows XPのサポート終了をきっかけにEC関連のシステムを入れ替えまして、それが本格稼働してからの取り組みとなりました。

浜田(tenso) それよりも時間がかかったのは、チラシですね。一度の印刷で、数万枚刷ることになりますから、かなり悩みました。

村山らむね  アナログなチラシがいちばん時間がかかったというのは、おもしろいですね。でも、非常にいいチラシだと思います。帰国後にまた日本のモノが欲しくなった時に、検索するのではなく、実際に訪れたお店でもらったチラシを引っ張り出してきて、QRコードから飛ぶという行動が目に見えます。

西行(多慶屋) 当社では、今言われている「O2O」や「オムニチャネル」と、「越境EC」のハイブリッド、本当の意味で掛けあわせたものをやりたいと思って取り組んでいるんです。

浜田(tenso) 越境ECをテーマにした記事もいくつか出てきていますが、本当に売りにつながっているサービスや仕組みはまだ見つかっていないのではないでしょうか。なかには、無理やり「越境」につなげているようなものさえある。

 今回の多慶屋さんとのお取り組みでわかったのですが、リアルな店舗さんは、一度自分のお店に来てお買い物をしてくださったお客様に、リピートしていただく方法について考えていらっしゃる。

 当社としては、そもそも越境ECをどう伸ばすかを考えていたのですが、わざわざ海外から訪日して店舗でお買い物をされているお客様というのは、一番熱い。その方々を、リピーターとして取り込まない理由はない、という発想からチラシに行き着きました。だから、机上の空論ではなく、実際に課題を解決できているのかなと考えています。(後編に続く)

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この記事の著者

ワダ スミエ(ワダ スミエ)

2013年11月11日〜2023年3月31日までECzine編集部在籍。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/1882 2015/10/28 16:11

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