Amazon Adsで効果的なブランドストーリーを見つけ、描く方法
━━具体的な施策として、どのようなAmazon Adsのソリューションを活用し、どのようにインサイトを発掘していったのでしょうか。
田中 最初は費用対効果を重視し、スポンサープロダクト広告を中心に運用しつつ、スポンサーブランド広告やスポンサーディスプレイ広告といった新しい広告にも段階的にチャレンジしていきました。特に注力したのが、スポンサーブランド広告と、同広告内の機能であるクリエイティブスタジオというAIを使用した画像生成ツールの活用です。
クリエイティブスタジオを用いて短期間に大量のクリエイティブを生成し、スポンサーブランド広告を配信して、クリエイティブへの接触状況などを詳細に分析しました。この分析から、「環境に配慮したエコな表現」や「持続可能性、エシカル」といったキーワードやクリエイティブが、購入意向の高いオーディエンスに響いているという重要なインサイトを発掘できたのです。
川﨑 ブランド側としては、サステナブルな側面を「当然のこと」として捉え、販促に使うことに遠慮がありました。しかし、スポンサーブランド広告での反応に関する数値がその遠慮を払拭し、クリエイティブ戦略の方向性を明確にしてくれました。
田中 クリエイティブに関しても、メイン画像や動画広告の表現を細かく検証していきました。ただ広告を出すだけでなく、カスタマーレビューを徹底的に読み込み、お客様が「PaperOne」の品質や環境配慮の点にどのような価値を見出しているのかを定性的に把握し、それをクリエイティブに反映させるという検証のサイクルを高速で回しました。
ベストセラー獲得で売上増加、小売や他ショッピングサイトにも好影響
━━スポンサーブランド広告で得られたインサイトを活かしてストーリーを描き、Amazon Adsのプロダクトを使い分けた結果、どのような成果が得られましたか。
川﨑 最も大きな成果は、Amazonのコピー用紙カテゴリーでベストセラーを獲得できたことです。これはブランドとしての大きな自信につながりました。売り上げも大きく向上し、事業全体が勢いづきました。
さらに驚いたのは、Amazonでの売り上げが上がったことで、他のショッピングサイトでの売上にも好影響があったことです。Amazonで認知度が高まり、ブランドとしての信頼が向上した結果だと分析しています。
Amazonでの成功は、ECの領域を超えて事業全体に波及しました。例えば、BtoBチャネルからの問い合わせが増加し、それがきっかけとなって店舗への展開も広がるという波及効果が生まれました。
これは、Amazon Adsを通じたブランディングが、単なるECの販促活動ではなく、「PaperOne=地球にやさしい上質紙」という新たなブランドポジションを確立し、流通業者や企業の担当者にもその価値が伝わった結果だと考えています。売り上げを伸ばすだけでなく、目指したいゴールに向けて伴走してくれたGROOVE様のサポートには大変感謝しています。
田中 スポンサーブランド広告は、スマートフォンの限られた数センチのスペースながらも、ブランドのメッセージを込めることができます。カスタマーの一瞬のインプレッション、一瞬のクリックするかどうかの機微を把握し、その繊細な違いを見抜く必要があります。私たちの役目は得られたインサイトから正しい仮説を立てること、そしてその仮説を徹底的に検証することです。その膨大な範囲に及ぶ検証においてはAI画像生成ツールは不可欠でした。

