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【リアル×オンラインのハイブリッド開催】ECzine Day 2025 October (2025.10.9)

徹底解説!自社に最適な「Amazon Ads パートナー」選定ガイド(AD)

価格競争から脱却し売上増!APRILがGROOVEとAmazon Adsで実現したブランドストーリー

 コモディティ化が進むコピー用紙市場で、アジアシンボルジャパントレーディング(以下、APRIL)はAmazon Ads パートナーのGROOVEと組み、「価格ではなく価値で選ばれるブランド」への再構築に挑戦。Amazon Adsを駆使して、消費者のインサイトである「エコ・エシカル」なストーリーを発掘し、クリエイティブに反映しました。その結果、Amazonでベストセラーを獲得し、売り上げが大幅に向上。この成功はAPRIL内の他のショッピングサイトやBtoB、グローバル戦略にも波及し、2025年度  Amazon Ads パートナーアワードのBrand Storytelling APAC部門のファイナリストにも選出されました。本記事では、両社のキーパーソンに取材し、ストーリーテリングを実現したフルファネルマーケティングの詳細に迫ります。

価格ではなく価値で選ばれるブランドをAmazon Adsで実現する

━━まず、今回ファイナリストに選出された取り組みの概要についてお聞かせください。コピー用紙ブランド「PaperOne」を展開されているAPRIL様は、日本においてどのような目標を掲げ、どのようなアプローチでブランドストーリーを構築されたのでしょうか。

Amazon Ads パートナーアワードは、デジタル広告における革新的な取り組みやイノベーションを推進したパートナーを称える表彰プログラムです。Brand Storytelling部門は、キャンペーンの目標を実現させたパワフルなストーリーを通じて、優れた創造力がどのようにブランド認識を変え、オーディエンスとの感情的なつながりを築いたかを示したパートナーを表彰します。GROOVEは、新たなブランド認識を生み出したAPRILの事例が評価され、APACにおけるファイナリストに選出されました。

川﨑 弊社はシンガポールに本社を置く、パルプ・紙製品を製造する企業APRILの日本法人です。主力製品であるコピー用紙「PaperOne」はグローバルで展開していますが、日本を新規獲得の重要なチャネルとして捉えていました。

 日本国内では、コピー用紙は価格で選ばれる傾向が非常に強く、まさにコモディティ市場の典型です。その中で、単なる消耗品ではなく「PaperOne」というブランドを選んでいただくためには、日本に合わせた新しい価値やストーリーが必要だと考えました。

アジアシンボルジャパントレーディング株式会社 ECセールス・マーケティングアシスタントマネージャー 川﨑 誠司氏
アジアシンボルジャパントレーディング株式会社 ECセールス・マーケティングアシスタントマネージャー 川﨑 誠司氏

田中 GROOVEは、創業当初からEC事業者のビジネス成長を支えるコンサルティングサービスを提供しています。今回のAPRIL様とのプロジェクトでは、「価格ではなく価値で選ばれるブランド構築」をテーマに掲げ、Amazon Adsを中核としたフルファネル戦略を実行しました。

 スポンサーブランド広告やスポンサーブランド動画広告、ブランドストアといったAmazon Adsのソリューションを統合的に活用し、ブランドの持つ「エコ・エシカル」な側面を消費者に向けて発信することで、カテゴリー内のベストセラー獲得とブランド再構築を目指したプロジェクトです。

ブランドストーリーが求められる背景とは?

━━なぜ、そこまで「ブランドストーリー」に力を入れる必要があったのでしょうか。

川﨑 コピー用紙はコモディティ化が進んでおり、Amazonなどのオンラインストアでは特に価格競争が激しい状況にあります。私たちもGROOVE様支援のもと、テクニカルなSEOや、基本的なスポンサープロダクト広告の運用から着手し、売上の下地はつくっていきました。

 しかし、その先に待ち受けているのは疲弊するだけの価格競争です。永続的な成長を考えると、価格の安さという一面的な訴求点だけでなく、「PaperOneだから選ぶ」という、価格以外の理由をお客様に見つけていただく必要がありました。

田中 そこで私たちが提案したのが、Amazon内でのブランディングを行い、市場のゲームチェンジャーになるという目標です。価格を競うレッドオーシャンから脱却し、ブランドが持つ本来のストーリーを可視化することに注力しました。

 APRIL様は持続可能な森林管理やカーボンニュートラルな紙づくりなど、企業として責任ある活動をされていましたが、本国の社内のマーケティングチームは、それを日本のカスタマーに訴求することが価値になるとは思っていないようでした。なぜなら、本国ではそういった製造背景のもと、実績をつくり一定の認知を得ていたので、あえてそれを語ろうという発想にはなっていなかったのです。しかし、私たちは、この「当たり前すぎて語られていなかった」ストーリーこそが、日本の生活者にとっての新しい「選ぶ理由」になると確信していました。

Amazon Adsで効果的なブランドストーリーを見つけ、描く方法

━━具体的な施策として、どのようなAmazon Adsのソリューションを活用し、どのようにインサイトを発掘していったのでしょうか。

田中 最初は費用対効果を重視し、スポンサープロダクト広告を中心に運用しつつ、スポンサーブランド広告やスポンサーディスプレイ広告といった新しい広告にも段階的にチャレンジしていきました。特に注力したのが、スポンサーブランド広告と、同広告内の機能であるクリエイティブスタジオというAIを使用した画像生成ツールの活用です。

 クリエイティブスタジオを用いて短期間に大量のクリエイティブを生成し、スポンサーブランド広告を配信して、クリエイティブへの接触状況などを詳細に分析しました。この分析から、「環境に配慮したエコな表現」や「持続可能性、エシカル」といったキーワードやクリエイティブが、購入意向の高いオーディエンスに響いているという重要なインサイトを発掘できたのです。

PaperOneのAmazonブランドストアページ
APRILのAmazonブランドストアページ

川﨑 ブランド側としては、サステナブルな側面を「当然のこと」として捉え、販促に使うことに遠慮がありました。しかし、スポンサーブランド広告での反応に関する数値がその遠慮を払拭し、クリエイティブ戦略の方向性を明確にしてくれました。

田中 クリエイティブに関しても、メイン画像や動画広告の表現を細かく検証していきました。ただ広告を出すだけでなく、カスタマーレビューを徹底的に読み込み、お客様が「PaperOne」の品質や環境配慮の点にどのような価値を見出しているのかを定性的に把握し、それをクリエイティブに反映させるという検証のサイクルを高速で回しました。

株式会社GROOVE 代表取締役 田中 謙伍氏

ベストセラー獲得で売上増加、小売や他ショッピングサイトにも好影響

━━スポンサーブランド広告で得られたインサイトを活かしてストーリーを描き、Amazon Adsのプロダクトを使い分けた結果、どのような成果が得られましたか。

川﨑 最も大きな成果は、Amazonのコピー用紙カテゴリーでベストセラーを獲得できたことです。これはブランドとしての大きな自信につながりました。売り上げも大きく向上し、事業全体が勢いづきました。

 さらに驚いたのは、Amazonでの売り上げが上がったことで、他のショッピングサイトでの売上にも好影響があったことです。Amazonで認知度が高まり、ブランドとしての信頼が向上した結果だと分析しています。

 Amazonでの成功は、ECの領域を超えて事業全体に波及しました。例えば、BtoBチャネルからの問い合わせが増加し、それがきっかけとなって店舗への展開も広がるという波及効果が生まれました。

 これは、Amazon Adsを通じたブランディングが、単なるECの販促活動ではなく、「PaperOne=地球にやさしい上質紙」という新たなブランドポジションを確立し、流通業者や企業の担当者にもその価値が伝わった結果だと考えています。売り上げを伸ばすだけでなく、目指したいゴールに向けて伴走してくれたGROOVE様のサポートには大変感謝しています。

田中 スポンサーブランド広告は、スマートフォンの限られた数センチのスペースながらも、ブランドのメッセージを込めることができます。カスタマーの一瞬のインプレッション、一瞬のクリックするかどうかの機微を把握し、その繊細な違いを見抜く必要があります。私たちの役目は得られたインサイトから正しい仮説を立てること、そしてその仮説を徹底的に検証することです。その膨大な範囲に及ぶ検証においてはAI画像生成ツールは不可欠でした。

コモディティ市場で突き抜けるために必要なこととは?

━━今回の成功事例を通じて、両社が最も重要だと感じた学びや、EC担当者の方々へ伝えたいポイントは何でしょうか。

田中 私たちにとっての最大の学びは、「データは文化を越える共通言語になる」ということです。グローバルブランドの課題は、ローカルの消費者理解と本国のブランド方針の間に“感覚のズレ”が生じやすい点にあります。

 今回のプロジェクトでは、Amazon Adsの指標やレビュー分析などAmazonが持つ様々なシグナルをもとに議論を進めることで、感覚ではなく事実に基づく意思決定が可能になりました。また、コモディティ市場のように差別化が難しい領域であっても、理念×データ×ストーリーの三位一体でブランドは再構築できるという確信を得ました。

 特に、短期的な販促成果よりもLTV(顧客生涯価値)やCEP(想起集合)といった中長期的な視点を持つことが、結果的にブランドの強度を高めることを実感しました。この経験は、今後の他業界への展開やブランド支援においても、確かな指針になると考えています。

川﨑 私たちブランド側にとっての学びは、「語られていなかった“当たり前”こそが、最も強い物語になる」ということでした。環境への配慮という企業の姿勢が、日本の消費者にとっての「選ぶ理由」そのものであったことに気づかされました。

 Amazon Adsの活用を通じて得られたシグナルを通じて企業姿勢がブランド価値へ転換する体験を得られたのは、非常に大きな成果です。広告を単なる販促ではなく、「企業の理念を可視化するメディア」として捉え直すことができました。

フルファネルとグローバル展開の加速へ

━━今回の成功を土台に、今後の展望についてお聞かせください。APRIL様とGROOVE様が目指す次のステップは何でしょうか。

川﨑 今回の成功手法は、日本だけでなく、グローバル全体でのPaperOneのシェア拡大につながる成功事例になると確信しています。また、コピー用紙自体がまだEC化率が低い商品なので、この取り組みをさらに発展させ、コピー用紙をECで売れる商品にしていきたいと考えています。

 今後、Amazonの展開国が増えるごとに、日本で確立したストーリーテリングのフレームワークを横展開していきたいです。

田中 今後は、Amazon Adsのシグナルの連携をさらに深化させ、AMC(Amazon Marketing Cloud)を軸にLTVやリピート率の可視化を進めていきます。これにより、単なる販売効率の最適化ではなく、LTVを起点としたマーケティング設計が可能になります。

 また、今後はフルチャネル・フルファネル型のブランド戦略を実装していきます。最終的には、ブランドがAmazon Adsを活用して“自社らしさ”を世界中に語れる仕組みをつくることを目指しています。そのために、私たちも引き続き、データとクリエイティブの両側面から伴走していきたいと考えています。

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提供:アマゾンジャパン合同会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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