コモディティ市場で突き抜けるために必要なこととは?
━━今回の成功事例を通じて、両社が最も重要だと感じた学びや、EC担当者の方々へ伝えたいポイントは何でしょうか。
田中 私たちにとっての最大の学びは、「データは文化を越える共通言語になる」ということです。グローバルブランドの課題は、ローカルの消費者理解と本国のブランド方針の間に“感覚のズレ”が生じやすい点にあります。
今回のプロジェクトでは、Amazon Adsの指標やレビュー分析などAmazonが持つ様々なシグナルをもとに議論を進めることで、感覚ではなく事実に基づく意思決定が可能になりました。また、コモディティ市場のように差別化が難しい領域であっても、理念×データ×ストーリーの三位一体でブランドは再構築できるという確信を得ました。
特に、短期的な販促成果よりもLTV(顧客生涯価値)やCEP(想起集合)といった中長期的な視点を持つことが、結果的にブランドの強度を高めることを実感しました。この経験は、今後の他業界への展開やブランド支援においても、確かな指針になると考えています。
川﨑 私たちブランド側にとっての学びは、「語られていなかった“当たり前”こそが、最も強い物語になる」ということでした。環境への配慮という企業の姿勢が、日本の消費者にとっての「選ぶ理由」そのものであったことに気づかされました。
Amazon Adsの活用を通じて得られたシグナルを通じて企業姿勢がブランド価値へ転換する体験を得られたのは、非常に大きな成果です。広告を単なる販促ではなく、「企業の理念を可視化するメディア」として捉え直すことができました。
フルファネルとグローバル展開の加速へ
━━今回の成功を土台に、今後の展望についてお聞かせください。APRIL様とGROOVE様が目指す次のステップは何でしょうか。
川﨑 今回の成功手法は、日本だけでなく、グローバル全体でのPaperOneのシェア拡大につながる成功事例になると確信しています。また、コピー用紙自体がまだEC化率が低い商品なので、この取り組みをさらに発展させ、コピー用紙をECで売れる商品にしていきたいと考えています。
今後、Amazonの展開国が増えるごとに、日本で確立したストーリーテリングのフレームワークを横展開していきたいです。
田中 今後は、Amazon Adsのシグナルの連携をさらに深化させ、AMC(Amazon Marketing Cloud)を軸にLTVやリピート率の可視化を進めていきます。これにより、単なる販売効率の最適化ではなく、LTVを起点としたマーケティング設計が可能になります。
また、今後はフルチャネル・フルファネル型のブランド戦略を実装していきます。最終的には、ブランドがAmazon Adsを活用して“自社らしさ”を世界中に語れる仕組みをつくることを目指しています。そのために、私たちも引き続き、データとクリエイティブの両側面から伴走していきたいと考えています。

