Amazonでの新規ブランド立ち上げに必要なフルファネル設計とAMC活用
━━新規のお客様の開拓というミッションのもと、具体的なフルファネルの施策設計や、Amazon Marketing Cloud(以下、AMC※)の活用について詳しく教えていただけますでしょうか。
※Amazon Marketing Cloud(AMC)とは
Amazonが提供する、クラウドベースのクリーンルーム。プライバシーを守りながら、Amazon Adsのファーストパーティーシグナルや広告主の持つシグナルを突合し、自社にあったオーディエンスを発見する、カスタムオーディエンスとして拡張配信に使うといったサポートをするソリューション。
藤田 オルビス様との取り組みでは、認知から購買までを一気通貫させるフルファネルで施策を設計しました。アッパーファネルの認知段階では、「ホームページヒーロー広告」というAmazon.co.jpのファーストビューに広告を掲載できる広告プロダクトや、Fire TV広告を活用して、広範なオーディエンスにアプローチしました。
これらの認知広告に接触したオーディエンスをAMCで抽出し、比較・検討のミドルファネルから購買のローワーファネルに向け、Amazon DSPで広告接触者に対してリーチし、高い関心を示したオーディエンスを購買へつなげていく流れを構築しました。
横田 クリエイティブ面では、キービジュアルを中心とした統一感のあるものを配信しました。また、F2転換(2回目購入)やクロスセルを意識した広告も展開し、一度購入されたお客様のロイヤリティを高める施策も同時に実行しました。
そして、運用の核となったのがAMCによる分析です。ROASを常にチェックしつつも、「新規のお客様」にできるだけ多くリーチできる配信面に予算をアロケーションできるよう、コントロールすることを徹底しました。
AMCを使うことで、認知施策と開拓施策の間でシグナルが分断することなく、どの施策が新規のお客様開拓に貢献したのか、その効果が明確に分かったため、迷いなく施策を推進することができました。
指名検索が376%増、目標売上も大きく達成
━━具体的な施策の結果、どのような定量的な成果が得られたのでしょうか。
藤田 最も驚くべき定量的な成果は、認知広告の実施後、指名検索数が前年対比で+376%も上昇したことです。これは、実施した認知施策が広範なオーディエンスに届き、オルビスというブランドと新商品「ORBIS SHOT PLUS」への強い関心を醸成できたことを明確に示しています。
もちろん、「ORBIS SHOT PLUS」に関しても、当初の目標を大きく突破する売上を達成し、一定の新規顧客を開拓できました。特にAmazonの定期便をインセンティブにしたことで、リピーター率も高い数字を維持できています。

━━今回の取り組みを通じて得られた気づきはありますか。
横田 今回の取り組みで得られた知見は、「認知の重要性」です。指名検索数の増加からも分かるように、ブランドを認知してもらうことが、結果として商品の購買に直結しやすいということを改めて証明できました。
そして、このAmazonでの認知施策も奏功し、Amazonと同時に販売開始したドラッグストアの売上も非常に好調に推移し、翌年春には、販路拡大というブランド全体のビジネス成長にも貢献した点は非常に大きな成果です。
Amazonでの成功が、他のチャネルでの営業活動を後押しする「メディア」としての役割を果たしたと言えるでしょう。

