急成長中のインド・アパレル市場 Z世代がもたらす新潮流
インド発のアパレルECプラットフォーム「Myntra(ミントラ)」が、「NRF 2025 APAC」で多くの聴講者を集めた。Myntraは2007年に設立し、今年で19年目を迎える。インドの中では最大級のECプラットフォームといって良いだろう。
講演には、同社のCEOを務めるNandita Sinha氏が登壇した。インドではライフスタイル市場の成長が著しく、現在約1,300億ドル規模だという。アパレル商品の需要も急激に高まっており、同氏は「ライフスタイル市場の約80%を占める」と語った。一方で、EC購入の浸透率はまだ高くはない。つまり、大きな成長の余地が残されているということだ。

なぜ、ここまでインドのアパレル需要が成長しているのか。そして、EC市場の拡大が期待されているのか。背景の一つにはZ世代の存在がある。Sinha氏は「今や顧客の3人に1人がZ世代」と強調した。
日本でもこの数年、「Z世代」がECおよびマーケティング業界のキーワードとなっている。人口が増加しているインドでは、特に“重要顧客”なはず。その意味で、日本との市場状況の違いはある。一部の企業は「日本のZ世代は消費意欲があまりない」と考えているかもしれない。しかし、世界のZ世代との共通点があるのも事実だ。
たとえばSinha氏は、Z世代の特徴として“トレンドファースト”を挙げた。国内、そして海外の両サイドからSNSを通じて影響を受けているからだと考えられる。また、興味深いのが“コミュニティ志向”である点。「彼らにとってSNSはただ情報を受け流すだけの場所ではない」とSinha氏は話す。
「Z世代はSNS上でコミュニティを見つけ、より能動的に情報を取りにいきます。加えて『他者に貢献したい』と考えている。すなわち、自分自身も発信者になろうとしているのです」(Sinha氏)


こうしたニーズを捉えた上で、同社が2023年5月に立ち上げたのがZ世代特化型のECプラットフォーム「Myntra Forward(以下、FWD)」だ。一体どんな仕組みなのだろうか。講演でSinha氏が具体的な施策を公開した。