越境ECは大変だけど、やれたら強い チャンスはある
――コマースへの挑戦が、まず越境ECからというハードルの高さですけど、ノウハウ等は?
「やりながら学んでいきました。最初は感覚がわからなくて、たとえば『1ヵ月前に頼んだ商品がまだ来ないんですけど』という連絡があったときに、届くのが遅くて怒ってらっしゃるんだと思い込み、『申し訳ありません、すぐに出荷します!』といった対応をとったんですが、海外のユーザーさんが求めているのは、そういうことじゃない。まず、日本のように、商品が予定通りに届くことのほうがめずらしくて、そこは期待していないんですね。ですので、到着が遅いことに怒っているわけではなく、ステイタスが知りたいそうなんです。
つまり、注文したことがEC事業者にきちんと伝わっていて、それが発送されたのか、自国の港についているのかいないのか、今どこにあるかが知りたいということ。そこでユーザーページにそれがわかる機能をつけると、クレームが減ったとかですね。文化が違うなと感じます。
海外への販売は、やっぱり大変です。英語ができるカスタマーサポートの採用や、日本ではあり得ない強度の梱包材が必要だとか。だから皆さん、やらないんですよね。逆に言うと、やれたらすごい強みになる。自社では大変だからやれないけど、『TOM』に頼めば海外でも販売できて、ビジネスチャンスが広がるというニーズはあると思います」
――これからもまだ、日本のモノが海外で売れる、越境ECに可能性はあるでしょうか。
「売れると思います。先日、フランス人の方で日本の弁当箱を海外向けにeコマースで売っている方にお会いしましたけど、ヘルシー志向や節約のために弁当文化が流行っていて、日本の弁当箱はすごい!と人気があるみたいなんですね。その方はそのビジネスを、もう7~8年やってらっしゃるそうです。さらにこれから、2020年の東京オリンピックに向けて、ますます日本に注目が集まりますし、現在は円安も進み、訪日外国人客の数も増えていますから、チャンスはあると思います」
――今後の御社の展望を教えてください。
「まず、ECサイトとしてより洗練されたものにするために開発に力を入れていきたいと考えています。ユーザーの属性や履歴などによってトップページが変わるような、パーソナライズやレコメンデーション機能、UI/UXなど含め、より進化させていきたいですね。
それから、英語以外の言語にも対応していこうと思っています。海外のユーザーも、全員が英語が得意なわけではないので、僕らが海外のECサイトで買う時と同じような不安を覚えていると思うんですよね。決済や規約のページは自国の言葉で読めるようにして、なるべく購入のハードルを下げたい。
会社としては、このたびの資金調達で得たお金をどう有効につかっていくかを考えています」