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ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

300Bridge代表 藤原義昭氏と探る 小売×デジタルの次なる転換点

デジタル広告投資から見えた「北欧、暮らしの道具店」の新たな成長戦略 クラシコム×AI活用の未来は?

 コメ兵、ユナイテッドアローズでDXを推進した後に、現在は株式会社300Bridge 代表取締役として経営、事業戦略、デジタルに関する各社のサポートや情報発信を行う藤原義昭氏。同氏が2018年から2019年にかけて連載していた「オムニチャネルの次の話をしよう」が、アップデートして帰ってきました。連載第2回は、株式会社クラシコムの代表取締役社長 青木耕平氏と対談。後編は組織作りの話に加え、広告投資から得た学び、AI活用の未来などクラシコムの未来が見える話を聞けました。

前編はこちら

自主性に委ねても、なぜクラシコムは高速PDCAを回せるのか

藤原(300Bridge) 前編で、青木さんは「KPIだけで判断はしない」と話していましたが、僕は事業規模や体質によって適する組織運営の型が大きく二つあると考えています。一つは上から目標・指標を渡す「KPI型」、もう一つはクラシコムのような社員の主体性に任せる「自主型」です。

 ただ、自主型は社員の数が増え、事業規模が大きくなると難しさを感じる瞬間があるはずなんですよ。「主体性をもって働いてください」といっても、その働き方自体がわからない人も出てくると思うので。その点、クラシコムを運営するにあたり、何か工夫していますか?

青木(クラシコム) 強いていえば「正しい型を先に教える」ですかね。弓道用語に「正射必中」という言葉があるのですが、これは「正しい射法で射れば、必ず的にあたる」という意味です。クラシコムはこの考えにのっとって「正しい射法=仕事を進める際のフォーム(行動指針)」を最初に教え、身につけてもらいます。

 KPI型は、僕から見ると「必中正射」なんですよ。「的にあてられれば、それは正しいやり方だ」、つまり結果さえ出ていればそれが「正しい」とする考え方ですよね。これだと、フォームが身につかず、業務が属人化してしまうだけでなく、施策のすべてが当てずっぽうになってしまいます。

 フォームが身につけば、「クラシコムでこれをやればこうなるよね」といったモニタリングや予測の精度が高まります。すると、数値の変化などほんの少しの変化にもすぐ気付けますし、そこから対応するにもフォームが定まっているから進む道が明確です。だからKPIをもたなくても結果が大体予測できるし、フォームを身につけた人には安心して仕事を任せられます。

株式会社クラシコム 代表取締役社長 青木耕平氏
株式会社クラシコム 代表取締役社長 青木耕平氏

藤原(300Bridge) プロセスをものすごく重視していますね。

青木(クラシコム) PDCAを高速で回し続けるためにも、プロセスは非常に大事です。KPI型だとやり方を自由にしているので、プロセスの段階で右往左往する時間が生じますよね。それにも関わらず、結果は自由ではない。すると「失敗できないからどうしよう」と立ち止まる人も出てきて、結果的にPDCAを回すスピードが遅くなります。

 こう話すと、フォームが決まっていることを苦と思う人もいるかもしれませんが、クラシコムでは結果の多様性は許容しています。もちろん、うまくいかなかったことは振り返りをしますが、フォームにのっとってやったことであれば誰が取り組んでも似た結果に行き着いたはずです。なので、結果そのものを責め立てることはしません。前編でも話した彫刻の話にたとえると「埋まっていると予想したものと違うものが出てきたけど、責任は果たしてくれたからこの学びを次に生かそう」と、次のステップに送り出します。

藤原(300Bridge) クラシコムがポテンシャル採用を重視する理由がわかりました。フォームを身につけられそうな人材かどうかを見極めているんですね。

青木(クラシコム) 「クラシコムの文化やフォームを吸収できそうか」は判断軸として大きいと思います。

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この記事の著者

岩崎史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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