消費者心理をくすぐる鉄板シナリオ アクションを促しやすくするコツは?
ただし、単にメール配信を行っても、リピート顧客の育成・獲得は実現できない。重要なのは、顧客が気になっている商品を然るべきタイミングで紹介することだ。これを実現するには、CRMやMAツールを導入した自動化も欠かせない。
「顧客は、日々の生活で様々な情報に触れています。そのため、『購入したい』と思うタイミングでアプローチしなければ、購入されないだけでなく、マイナスな印象にもつながってしまいます」
こうした施策で最も大切なのは「質と量の両立」だ。施策の自動化は、適切な顧客に、適切なタイミングで情報を届け効果を最大化するだけでなく、EC担当者の負担減にも期待できる。
「当社が提供する全自動CRM・MAツール『アクションリンク』では、質と量の両立をかなえられる鉄板シナリオを用意しています。これにより、1クリックで一人ひとりに合わせたメッセージ配信が可能です」

ここで中村氏は、鉄板シナリオの中から過去に実施して成果が出た施策例を三つ紹介した。これらは、商品のジャンルを問わず成果につながりやすいアプローチ手法だという。
「『レコメンド通知』『バースデー通知』『ランキング通知』は、サイト来訪の促進につながります。レコメンド通知は、過去の購入商品や開封メールの情報を基に、AIが『顧客が求める情報』を推測してメール配信するものです。
バースデー通知はその名の通り、顧客の誕生日に合わせて特典やクーポンを送るもので、開封率と購入率の向上に期待できます。ランキング通知は、ECサイト内でよく購入されている人気商品をランキング形式で紹介し、商品詳細ページの閲覧や購入を促せます」
加えて、商品を閲覧した上で離脱した顧客や、カートに入れた上で購入しなかった「カゴ落ち」に対するフォローも大切だ。どちらも関心度が高い状態で離脱した顧客となるため、同一商品や関連性の高い商品の情報を後日提案すると、「50%から60%台と非常に高い開封率を記録する」と中村氏は言及。特に、カゴ落ち通知に対する購入率は、38.1%と高い数値を誇っている。
「リピート購入を促すには、『休眠復活』の取り組みも有効です。よく見られる施策としてクーポン配布が挙げられますが、こうしたばらまき施策以前に『保有しているポイント』と『有効期限』をお知らせするだけでも変化が見られます。なぜなら、せっかく貯めたポイントが失効すると思うと、消費者心理としては使いたくなるからです。
こうした心理へのアプローチとしては、『値下げ』『残りわずか』『再入荷』といった訴求も有効です。『今買わないと損をする』『今買わないと商品が購入できなくなる』と思ってもらえれば、メールからのアクションを促しやすくなります」